シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

グーグル節税法にみる日経新聞の読み方

今朝の日経新聞では1面でグローバル企業・グーグルの節税法について書かれています。

企業と国、奪い合う富  国境またぐ節税拡大  2013/6/30付日経新聞

 米アップルや米グーグル……。グローバルに活動する巨大企業の納税額の少なさに批判が集まっている。実際、税引き前の利益に対する法人税の負担割合を示す税負担率でみると、グーグルは19%。米国の法人実効税率(約40%)を大きく下回る。

 からくりの舞台はアイルランドだ。首都ダブリンの港湾に近いオフィス街。そこにグーグルのグループ会社がわずか約500メートルの間に2つある。会社Aはカジュアルな服装の技術者が行き交ういつものグーグルだが、もう一つの会社Bは登記だけ。登記上の住所には弁護士事務所があり、グーグルの特許などをタックスヘイブン租税回避地)である英領バミューダから管理している。

 実体のある会社Aは事業収入の一部を特許使用料などとして会社Bに払う。Bはバミューダ本籍のある会社の外国法人の形を取っているため、アイルランドの税法では課税対象にならない。グーグルは、利益の一部を合法的バミューダに逃がしている形だ。

 「ダブル・アイリッシュ」。こう呼ばれる同社の節税手法は、多国籍企業の税務担当者の間では常識だ。程度の差こそあれ、多くの企業が税率の低い国や地域に利益を集め、全体で税負担が軽くなる税務戦略の巧拙を競う。例えば利益への知的財産の寄与度が高い製薬業。日本企業の税負担率は30%台が多いが、米ファイザーやスイス・ノバルティスはほぼ10%台だ。


図1 グーグル節税法の例
オーストラリア企業がグーグルに広告を出した場合のダブルアイリッシュを用いた複雑な取引の流れ

グーグルの節税法「ダブルアイリッシュ」「ダッチサンドイッチ」については大元隆志氏のブログに詳解されています。
   グーグルの節税策 ダブルアイリッシュ、ダッチ・サンドウィッチとは? グーグルの節税策 ダブルアイリッシュ、ダッチ・サンドウィッチとは?

要するに、グーグルでは各国での課税対象外とされる取引をうまく組み合わせて、日本を含む本国外の取引の課税の殆どを免れている、ということになります。

ただ、同日付日経新聞では、いつもながらの次のような主張も繰り返されています。

本丸の法人税率の引き下げを忘れるな  2013/6/30付日経新聞

 安倍政権成長戦略に沿った法人税減税の検討が本格化する。生産設備の更新や事業の再編に動く企業の税負担を軽減するもので、8月中にも骨格を固める。
…。
 期待したいのは国税地方税を合わせた法人実効税率の引き下げだ。日本の税率は12年度に40%強から35%強(復興増税を含めると12〜14年度は約38%)に下がったものの、国際標準といわれる25〜30%よりもまだ高い。
…。

 1%の実効税率引き下げは国と地方で3000億〜4000億円の減収につながる。その財源を手当てするのは容易ではない。しかし法人税の課税ベースの拡大やほかの税目の増税と合わせて実施してきたドイツや英国などに学ぶこともできるのではないか。

元々日経新聞などが法人税減税を主張してきた根拠は、グローバル化する企業経営の環境では法人税が高いと安い国に本社を移転されてしまい、税収がどんどん落ちるということがあげられてきました。
日本の法人税率は世界一高いと言われているので、下げることにより税金を払ってくれる優良企業を海外に逃すことなく、あわよくば海外の優良企業も誘致することができるかもしれないという主張がなされています。

上の記事で、手本にせよとされた英国では、消費税率引き上げにより実際にどうなったでしょうか。

英国の例に学べ! 消費増税で税減収、そしてデフレ地獄に zakzak2013.06.14

英国は11年1月から付加価値税(消費税に相当)率を17・5%から20%に引き上げたが、一挙にデフレ圧力が高まった。12年夏にはロンドン五輪が開かれたが、消費は減退したままだ。消費者物価は増税に伴い11年に4%台、12年からは2%台で推移しているが、名目国内総生産(GDP)の伸び率を上回り、11年以降は実質マイナス成長に陥った。所得税法人税などを含む税収総額は12年9月以降前年比マイナスに落ち込んだ。ことしはさらに悪化し所得税法人税収とも前年比減、付加価値税収も実質では前年比減収である。

一方で「グローバル企業の税務担当者間では常識」の合法的な節税策に対する批判的記事を掲げながら、その一方ではこれらグローバル企業誘致のため、彼らにとっては実質的にどれだけ意味があるのか疑問の法人税引き下げを主張し、その財源は逆進性の高い消費税などを挙げる日経新聞。 

そして、自ら手本にせよという英国での、総税収は減少しデフレ化を招いた、不況期の消費税増税という税制改革失敗には目をつぶる日経新聞

日経新聞の記者さん方、自分で記事書いていて、矛盾を感じませんか?