シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

最近のスティグリッツ氏発言からみる日経新聞の読み方

安倍政権の経済政策「アベノミクス」が日本経済の再生や世界経済の発展に果たす役割を議論する国際会議が、5月30〜31日の日程で東京都内で開かれました。 

この会議には2001年にノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ氏も参加しました。氏は消費税増税についても何か語ったようなのですが、報道機関によりその内容に少々差があったようです。

❏消費税増税否定型

テレ朝ニュース 
消費税は消費を冷やす“悪い税金”ノーベル賞学者(05/31 20:41)

ノーベル賞を受賞したアメリカの経済学者、ジョセフ・スティグリッツ氏が講演で、来年4月からの消費増税に慎重姿勢を示しました。

 米・コロンビア大学、ジョセフ・スティグリッツ教授:「消費税のみ単独で増税するには時期尚早です。増税するのであれば、ほかの政策も同時に実施しなければなりません。消費税よりも効果があるのが環境税です。環境対策にもなり、次世代を守ることにもつながります」
 スティグリッツ氏は、東京都内での国際会議で、消費税は消費を冷やす「悪い税金だ」と指摘しました。また、テレビ朝日などの取材に対し、政府が目指している来年4月の消費増税は時期尚早だと述べたうえで、消費税よりも、二酸化炭素の排出量に応じて課税する「環境税」のほうが税収につながるという見方を示しました。環境税は企業に新たな設備投資を促すため、経済活性化にもつながるとしています。
 一方、株価の乱高下が続き、アベノミクスの副作用が懸念されていることについて「実施しないほうが将来的なリスクになる」と述べ、安倍政権が進めている経済政策の成果を評価しました。

47ニュース
消費増税の影響緩和を ノーベル賞スティグリッツ教授 2013/05/31 19:49 【共同通信

 ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は31日、東京都内で共同通信などのインタビューに応じ、来年4月からの消費税増税に関し「消費税引き上げだけをするのは時期尚早だ」と述べ、日本政府は景気の落ち込みを抑える施策を組み合わせて、増税の影響を緩和するべきだと指摘した。

 税収確保のため、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税する「炭素税」を重視していくべきとの考えも表明。「環境を保護し、将来の世代を守る。家やビル、車を新しくする必要が生まれて経済活性化にもつながる」と説明した。


❏消費税スルー型

フジサンケイビジネスアイ
アベノミクスの「三本の矢」は重要 スティグリッツ教授が高評価
2013年5月31日(金)08:21

 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の国際的な役割を議論する国際会議が30日、東京都内で始まった。ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は「金融政策、財政政策、成長戦略の『三本の矢』という考え方は重要で、それぞれが必要不可欠な政策だ」とアベノミクスを高く評価した。

 会議は内閣府が主催し、甘利明経済再生相や内閣官房参与浜田宏一米エール大名誉教授らも参加して行われた。

 スティグリッツ教授は「デフレの原因は需要の不足で、『三本の矢』の政策は需要不足を解消し持続可能な成長のために重要だ」と指摘。そのうえで、日本は製造業に比べて遅れているサービス業の効率化や、女性労働力の活用などに積極的に取り組むべきだとした。

 会議後の歓迎会では安倍首相が「日本は自信を取り戻しつつあり、経済大国復活の原動力となる」と政策を進める決意を表明した。

ここまでの3社はスティグリッツ氏が消費税増税に否定的だったことを伝えたか、その部分を伝えなかったかの違いでした。 ところが…。

増税肯定形

日経新聞 
財政収支の黒字化、20年までに「達成可能」 スティグリッツ  2013/5/31 20:51

コロンビア大教授のジョセフ・スティグリッツ氏が31日、都内で日本経済新聞社などの取材に応じ、財政の基礎的財政収支を2020年度までに黒字化する政府の目標について「達成可能」と述べた。日本の国内総生産(GDP)に対する税収の比率は他の先進国に比べ低く「引き上げ余地がある」と指摘。増える税収の一部を最も投資効果が大きい教育や科学技術に回せば「短期にも長期にも経済成長をもたらし税収の増加につながる」とした。

 長期金利の上昇が日本経済にもたらす影響については「そんなに心配していない」と話した。市場はよく乱高下し、特に経済政策が変わる過程で短期的な変動に陥りやすいと指摘。金融当局は「国債の購入量を増やすなど長期金利を引き下げる道具を持っている」と今後の日銀の対応に期待を示した。

 安倍政権の経済運営は成功しているとの認識を示したうえで、潜在的な日本経済の成長力は「そんなに悪くないと国民に明確に伝えたこと」を理由に挙げた。長引く景気低迷で「日本には過度に暗い雰囲気があった」と指摘。一方で、失業率は低く「悪いことばかりではなかった」と話した。 *1

日経新聞以外の各社はスティグリッツ氏が消費税増税に否定的だったことを伝えた、あるいは書かなかったのに対し、日経新聞だけは日本の税収比率が他の先進国より低く、増税余地があると語ったことになっています。 このタイミングでの増税といえば消費税増税のことでしょう。 日経新聞からはスティグリッツ氏が消費税は悪い税、と語った話は微塵も見えてきません。

なぜこうも報道内容に差がでるのでしょう。

以前、最近のソロス氏発言からわかる日経新聞の読み方 - シェイブテイル日記 最近のソロス氏発言からわかる日経新聞の読み方 - シェイブテイル日記という記事で、日経新聞(あるいはその依頼を受けた豊島逸夫氏)が、発言者ジョージ・ソロス氏の意図とかなり異なる記事を書いていることをお伝えしました。

日経新聞にはまず自分が購読者に知らせたいこと、知らせたくないことがまずありきというように思えて仕方がありません。


ノーベル経済学賞受賞者の意見も新聞社で自由自在?

【参考】

*1:日経新聞はこの31日のインタビューとは別に、30日の講演を完全にスルーしたわけではないのに、消費税は悪い税の話にはやはり触れていません。http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL300OU_Q3A530C1000000/