シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

アベノミクスの行く末のPros/Cons

今日は、「政策を考えるにあたってはPros/Cons(プロコン。”プラス面とマイナス面”位の意味)が重要」ということを書きたいと思います。

アベノミクスが始まり、黒田日銀による量的・質的緩和も始まった現在、円安・株高・債券高という日本経済にとって好ましい状態が続いています。
最近のブレイクイーブンインフレ率も昨年の今頃は0.5%前後だったものが、現在は1.5%弱にまで高まってきています。*1

とはいうものの、政府日銀が目指す消費者物価指数CPI=2%に到達するのが、目標とする2年以内で達成できるのかどうかはまだわかりません。
このような不確実な将来について考える時に、考えられる複数のシナリオに分けて考えるシナリオ分析は有効です。

リフレ政策に懐疑的な人たちからは、目指すマイルドインフレ達成シナリオ以外に、悲惨なシナリオも描かれています。
以下はabz2010氏のブログ「アベノミクスの行く末を予想する」からの引用です。 

リフレ政策によって起こりうる可能性については少なくとも以下の5つが想定される。

0. インフレ率の上昇、国債金利の上昇、円ドル相場の軟化、資産価格の上昇 

1. インフレ率がターゲットを早々に上回り、景気が本回復する前に引き締めざる得なくなる

2. 国債金利が高騰し、財政再建へと向かわざる得なくなる

3. 資産価格が高騰し、バブル抑制の為に引き締めざる得なくなる

4. インフレ率の上昇過程で景気が自律回復し、好況・財政再建に向かう

5. (番外) 対応がぐだぐだになって破綻へまっしぐら、、 
アベノミクスの行く末を予想する - カンタンな答 - 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する アベノミクスの行く末を予想する - カンタンな答 - 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する

アベノミクスの陥る可能性があるシナリオをいくつもに分けてもらえていること自身は大変参考になるのですが、このシナリオ分析で残念なのはPros/Cons、つまり政策のプラス面とマイナス面を実施した場合としなかった場合との差分に着目して見る視点が落ちていることです。

0から5までの6つのシナリオを、それを実施しなかった場合、つまり「2012年野田解散以前」の政策との対比でそれぞれ見てみましょう。

0. インフレ率の上昇、国債金利の上昇、円ドル相場の軟化、資産価格の上昇 
 これは国債金利上昇を除き、まさにアベノミクスの目指す姿であり、「2012年野田解散以前」との比較でデメリットはないといえるでしょう。
 国債金利の上昇は、マイルドインフレへの転換により予測される次の課題ではありますが、だからといってデフレに留まるほうが望ましい、という考え方は日本は破綻する以外には手がないといっているようなものかと思います。

1. インフレ率がターゲットを早々に上回り、景気が本回復する前に引き締めざる得なくなる
このシナリオでも、デフレ脱却することで日本が普通の先進国に戻るという目的は達成できています。インフレ率は2%に到達しても、景気が回復していない、というのは海外の商品値上がりによるコストプッシュインフレのことを指しているのかもしれません。その場合、早々と引き締めるというのは妥当かどうかとは思います。
いずれにしても、「2012年野田解散以前」との比較で言えば、このシナリオでもアベノミクスは成功した、ということではないでしょうか。

3. 資産価格が高騰し、バブル抑制の為に引き締めざる得なくなる
これは現実的なシナリオであるようにシェイブテイルにも思えます。 現実に株価が「2012年野田解散以前」から4,5割騰がってきていますので、株価が更に2倍、3倍となるとなれば、資産バブルの様相となっていくでしょう。土地価格も反転を超え高騰の兆しが見えるかもしれません。
ただこの場合、株取引なり、土地取引なりバブルの兆しが見える取引に対して高い税率を掛けるなど、バブルをピンポイントで抑制することが妥当であり、デフレを脱却していないのに、金融全般を引き締めることはどうかと思えます。
いずれにしても、「2012年野田解散以前」との比較で言えば、大きなデメリットがあるようには思えません。

4. インフレ率の上昇過程で景気が自律回復し、好況・財政再建に向かう
これは満点、「2012年野田解散以前」との比較するまでもなく言うことがありませんね。

5. (番外) 対応がぐだぐだになって破綻へまっしぐら、、
これは確率は小さくとも避けたいシナリオです。ただ、元々「2012年野田解散以前」が20年来、”対応がぐだぐだになって破綻へまっしぐら”状態で、ジョージ・ソロスはそうした日本経済を「緩やかな死」に向かう状態と表現したわけです。 
万が一アベノミクスがこの最悪シナリオに落ち込んでいくとした場合にも、「2012年野田解散以前」の政策によればそれが回避できたか、といえば遅かれ早かれそうなるしかなかったということでしかないでしょう。

 以上、アベノミクスを実施した場合と「2012年野田解散以前」の政策をシナリオに分けてPros/Consみましたが、どのシナリオに沿って考えても「2012年野田解散以前」の政策が優る、という局面は見えてきませんでした。 

今回のエントリーとは直接関係ありませんが、自分が支持する政策にはメリットばかりを強調し、反対する政策ではデメリットばかりを強調する「御用学者」の説が新聞紙上などで時々、いや、しばしば見受けられますが、読む側が、書かれなかったPros/Consを補って読めば、本当の問題がどこに潜んでいるのかわかる場合も度々あるように思います。