シェイブテイル日記2

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覚えておいて損はない今日の各党の投票行動

今日の参議院では、日銀正副総裁人事が票決され、黒田総裁のもと新日銀体制が3月19日からスタートすることになりました。

今回最も懸念されたのは、正統リフレ派として知られる岩田規久男氏の副総裁人事に参議院最大政党の民主党が反対姿勢を示していたことで、岩田規久男氏の副総裁就任には与党・自公だけでは足りず、みんなの党や維新の会の賛成票が過半数に不可欠なことでした。

 ところが実際に蓋を開けてみると、岩田氏に賛成が124、反対が96、棄権が16という結果で、意外に差が開いて岩田副総裁が決定しています。*1

さて、この投票結果ですが、リフレ派の日銀正副総裁に対し各政党がどう投票行動をしたのかを見ると、なかなか興味ある結果になっています。
各政党での投票者のうち、賛成票を1票、棄権を1/2票とみなして各候補者への賛成票率として示したのが図1です。


図1 参議院(3/15)での日銀正副総裁人事投票結果
表は、黒田・岩田・中曽各氏に対する各党の賛成投票結果(%)。
賛成は1票、棄権は1/2票としてカウントした。
なお既に民主党を離党している川崎・植松両氏は無所属とした。
得票実数は参議院第183回国会本会議投票結果を参照のこと。

図1はリフレ政策に積極的と思われる、岩田氏、黒田氏、中曽氏の順に、これら各候補を肯定的に捉えている政党を上位に並べ替えています。

みんなの党は今回岩田氏には賛成し、黒田氏・中曽氏には反対しており、財務省では異色といわれるほど日銀の対応を非難してきた黒田氏のリフレ積極度にも疑問を呈していることが分かります。
維新は、黒田氏までは許容出来るが、日銀出身の中曽氏には反対の立場です。
与党の公明と国民新・改革は自民案に完全同意しています。(自民は1名が棄権)
無派閥の7名はさすがに意見がバラバラに分かれています。

民主党は岩田氏には反対し、黒田氏と中曽氏には賛成する立場ですが、少なからず棄権者が出ています。これは民主党金子洋一議員によれば、禁足(投票を強制するため、国会近くに軟禁状態にすること)が掛かっておらず、民主党方針に同意しかねる議員の棄権を許した結果のようです。
社民・生活・みどりの党は基本的に岩田・黒田氏に反対し中曽氏だけ賛成の立場です。
共産党は全ての候補に反対票を投じています。

昨年11月の衆議院解散前後からアベノミクスの効果を目の当たりにした国民はこれを好意的に捉えているのですから、普通に考えればこのアベノミクスを推進するための日銀首脳人事には反対はしにくいところでしょうが、民主党以下の各党にはこうした国民の声は届いていないのでしょうか。あるいはこれらの党は日本国民以外の人のための政治を目指しているのでしょうか。

 この図1の表を改めてみてみると、表の上位にはいわゆる「保守政党」が並び、表の下位にはいわゆる「革新政党」が並んでいます。 ただ、この保守・革新という言い方は戦後すぐの時点での保守革新がそのまま60年以上使い続けられた結果、今回の投票結果のように、上位にこそ本当の意味での革新的政党が並んでおり、下位にこそ保守的に何も変えようとしない政党が並んでいるのは面白いものです。もうそろそろ日本での保守革新という言い方も見なおしたほうがいいのかもしれませんね。

 蛇足ながら、もっとも上に来ているみんなの党は岩田氏には賛成しましたが、仮に「岩田氏は日銀による国債直接引き受けに消極的」といった理由でみんなの党が岩田氏にも反対したとすると、その結果は最下位に位置する共産党と同じ投票結果(全てに反対)になってしまいます。 
「理想主義と現実離れとは大差がない」といっては言い過ぎかも知れませんが、民主主義の基本が多数決である以上、これが理想と思えることもあるところでは妥協しないことには大多数から支持を受ける与党にはなり得ないという気がします。