シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

近い将来の世界経済の牽引車は?

今日の日経夕刊では、ASEAN5カ国(インドネシア・タイ・フィリピン・マレーシア・ベトナム)がアジア経済を牽引、という記事が載っています。

 東南アジア諸国連合の主要5カ国(ASEAN5)がアジアの成長の軸となる構図が鮮明になってきた。日本の戦後発展を追った韓国や台湾など新興工業経済群(NIES)4カ国・地域の伸びが鈍化する一方、インドネシアなどASEAN5が成長を続け、2014年に名目国内総生産(GDP)でNIESを抜く。NIES企業のASEAN進出も急加速しており、東南アジア事業で先行する日本企業との競合も激化しそうだ。
 中国が日本の経済規模を抜いた3年前の「日中逆転」に続き、アジア経済が大きな構造変化の節目を迎える。そうした中、安倍晋三首相は16日からインドネシアをはじめ東南アジア3カ国への歴訪に出発。東南アジアの成長取り込みの具体策が問われる。

記事で引用されているデータはIMF World Economic Outlookデータベースの最新版です。 紹介されているのはASEAN5カ国の名目GDPの伸びの大きさです。

ただ、ASEAN地域は物価上昇率も低くありませんので、同じデータベースを使って、実質GDPの年平均伸び率を世界の各地域別に見てみました。

図表1 世界各地域の実質GDP伸び率(年平均%)
出所:IMF World Economic Outlook Oct.'12
12年以降はIMFによる予測値。
ASEAN5も経済成長が著しい地域であるが、世界的に見て
伸びが最高の地域というわけではない。
地域名の定義は文末参照。

 まず、世界の経済成長は、いまや新興国(先進国を除く地域)に依存していることが分かります。
 そして、確かに日経の記事のように、ASEAN5はNIES(香港・台湾・シンガポール・韓国)を上回ってはいますが、ASEAN5が世界最高の経済成長が予想されているわけでもないようです。 地域別に見ると、成長鈍化が盛んに報道されている中国が依然として近い将来の世界経済成長の中心にいると予測されています。ついで、インドなどの発展途上アジア*1。その後がASEAN-5です。

意外なところでは、エイズが蔓延といったイメージが強いサハラ以南アフリカがこれに続き、独立国家共同体(CIS) *2 、中南米がそれに次ぎます。 独立国家共同体、つまり旧ソ連経済圏でも特にモンゴルは今後'15年まで年平均11.2%、トルクメニスタンは7.8%、ウズベキスタンも6.6%と、ASEAN5を上回る実質経済成長率が予測されているようです。

 冒頭のASEAN5の経済成長が強調された記事は、安倍首相が16日からインドネシアなどを訪問することを受けての記事と思われますが、安倍首相の訪問目的は中国の経済的拡張や尖閣列島周辺などでの海洋活動が進む中、周辺国との外交協調で成果を上げることも大きいと思われ、必ずしも経済成長が著しい諸国だから訪問を急ぐ、ということではないように思われます。

 日経の一面で報じられたことで、世界で最高の経済成長率はASEAN5、といった誤ったイメージに囚われないようにする必要があるかもしれません。

*1:発展途上アジアにはAfghanistan, Bangladesh, Bhutan, Brunei Darussalam, Cambodia, China, Fiji, India, Indonesia, Kiribati, Lao P.D.R., Malaysia, Maldives, Myanmar, Nepal, Pakistan, Papua New Guinea, Philippines, Samoa, Solomon Islands, Sri Lanka, Thailand, Democratic Republic of Timor-Leste, Tonga, Tuvalu, Vanuatu, and Vietnamが含まれる。

*2:Armenia, Azerbaijan, Belarus, Georgia, Kazakhstan, Kyrgyz Republic, Moldova, Mongolia, Russia, Tajikistan, Turkmenistan, Ukraine, and Uzbekistan. Georgia and Mongolia モンゴルは正しくはCISメンバーではないが、経済システムが似ているということで便宜的に含まれている。