シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

アベノミクスと固体経済学

”固体経済学”という言葉は、ググっても今日の時点ではこの記事以外にはまだ1件もヒットしない筆者の造語です。*1
 経済状態には通常の経済学が想定している状態(相)−これを液体経済としましょう−の他に、固体経済(と気体経済)があり、それぞれの経済相*2により親和性の高い経済政策が異なるのではないか、という考えのもと創ってみました(図表1)。 *3

図表1 液体経済と固体経済
液体経済とは、通常の経済学が想定しているような、端的に言えば流動性の罠の外。
固体経済とは、通常の経済とは異なり貨幣が選好される、流動性の罠の中。
これら両者で共通して成り立つ(あるいは正しい)経済政策はあり得ないのでは、
ということで固体経済(学)という造語を創った。

不況といっても景気循環の中での不況は、金利を操作するなり、在庫調整するなりすれば、投資環境が整い、雇用も生まれます。
一方、図表1でいう固体経済の世界では、不必要なまでに貨幣が選好され、金利をゼロに下げても、必要な投資に資金は回らず、失業率も高い、ということで、ある意味異常な経済と言えるかもしれません。 

 日本はこの20年この異常な経済の真っ只中です。 現在の危機の最中の欧州もそうかもしれません。 1930年代の大恐慌時代の日米欧もそうでした。
これらの異常な経済状態つまり固体経済、つまり政府がマネーを単に供給しても預貯金として凍りついてしまう経済−金融政策をすれば、金融機関の当座預金に凍りつき、財政政策をすれば企業・家計の預貯金として凍りつく経済−に、通常の経済学−液体経済学、文字通り流動性が企業・家計に循環する経済−の結論を当て嵌めるのは無理があるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

昨日書いたブログ、20年間に輸出が1.5倍に伸びた日本は健全か 20年間に輸出が1.5倍に伸びた日本は健全か このエントリーをはてなブックマークに追加に名無しの投資家さんから「マクロ経済的に言うと「国際競争力」は存在しません。個々の企業は「競争」していますが、マクロで見た国と国との貿易には競争は存在しないのです。(重商主義などを参照。)貿易はお互いに利益があるから取引が成立しているのです。」という論点を提示していただきました。

この論点について、例えばTPPをとりあげれば、私も潜在的にはTPPには肯定的ですが、現段階で賛成はしかねます。
というのは、好況状態ではTPPに参加して自由競争を拡大し、競争に負けた国内の企業で労働者が失業しても、その労働力を必要とする別の企業もすぐ見つかるかと思いますが、デフレ不況の場合には失業したら、前職とは大きくかけ離れて悪い条件でしか働けないというのは常識です。パラシュートなしのダイビングを国民に強要する必要はないと思います。

 安倍首相が主導するアベノミクスでは財政・金融を同時発動させ、デフレを脱却し、CPI=2%前後のマイルドインフレを目指しています。
固体経済・液体経済といった概念の中で言えば、アベノミクスは固体から液体への相転移を目指した経済政策と言えるのではないでしょうか。

*1:””とダブルクォーテーションマークで囲った場合

*2:相はphaseの訳語。言い換えれば状態。大臣の方の意味ではなく。

*3:議論が分散するのを避けるため本文記載を避けましたが、気体経済とは、貨幣が全く選好されない、ハイパーインフレのような状態です。