シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

安倍新政権でもインフレにならないかもと恐れる理由

 経済ジャーナリストの荻原博子氏が、週刊誌上で安倍政権のリフレ政策でもインフレにはならないと断言しています。

「安倍新政権でもインフレにはならない」荻原博子が断言
女性自身 12月31日(月)7時51分配信

「安倍氏のインフレ目標では庶民にお金は回ってこない」と、経済ジャーナリストの荻原博子さんは断言する。政権交代で家計はどうなるのか、荻原さんに聞いた。

自民党衆院選で勝利し、アベノミクスなどといわれ盛り上がっています。円安株高が進み、金融緩和でインフレがくるとの見方がありますが、これで景気が回復するかというと、お金が庶民までは回らないのが現実。小泉・安倍政権の2002〜’07年のときもそうでした。景気はよくなっても収入は減り続けたのです」

その二の舞になる可能性を考えて、’13年は財布のひもを一層きつく締めていかなければならない、と荻原さんは言う。

安倍政権がさまざまな金融政策を打ち出してもデフレは解消されず、庶民の給料は一向に上がらない事態が想定できます。もともと企業がグローバル化の流れに対処するべく、大幅な人件費のカットを行ったために給料が上がらず、買い控えが続いていることがデフレの一因だからです。これを解消する雇用対策を打ち出さない限り、デフレ脱却は難しいでしょう」

’13年は所得税、住民税や、法人税に対して、復興特別税が課されることも忘れてはならない。

「所得が減るなかで現金の価値は増すので、ムダを省いてお金をためる習慣をより強化していくことが大切です。中学生以下のお子さんがいる家庭では、年少扶養控除もすでに廃止になっていますので家計は厳しくなるでしょう。デフレ下では現金を抱えているだけで価値が上がることを考え、お金を抱えたまま増やす方法を考えていくことを心がけましょう」

シェイブテイルとしましては、「リフレ政策も知らずによくこんなこと書いたもんだ。」と一瞬思いました。

ただ。
これまでリフレ政策に興味を持っていなかったとしたら、いわゆる知識人でも、まぁこんなもんだろうとも思うのです。
とすれば、一般人によるデフレ期待はより一層強固ということでもありましょう。

 小泉政権およびリフレ開眼する前の,前安倍政権までは、荻原さんが指摘するように6年間給料は下げ続け、またCPIは0%以下、GDPデフレータも−1%以下で推移しました。(図1)

 
図1 小泉政権・前安倍政権期の物価推移(左)と高橋財政期の物価推移(右)
出所:(左)IMF WEO、2001年=100として表示。
(右)富田基樹「1930年代における国債の日銀引き受け」より引用、東京小売物価対前年上昇率(%)。
高橋財政期は1931年暮れから1936年初めまでの2本の破線の間の時期。
小泉・前安倍政権期について、「日銀が後少し量的緩和政策を続ければ…。」
と残念がる向きもあるが、高橋財政期とは異なり、小泉・前安倍政権下の6年間、
物価は安定的に下がっている。

 高橋是清以来80年ぶりにリフレ政策を採ろうという新安倍政権の場合、デフレ期間も80年前は数年であったのに対し、今回は15年にも亘り、そして80年前とは異なり、荻原さんが指摘する’13年の復興増税のほか、三党間合意により2014年春と15年秋の増税が予定され、日銀法により国債の日銀直接引き受けには封印され、またインフレ目標があるがゆえにインフレ予想にもCPI3%程度の天井があり、デフレ脱却を抑制する悪条件が揃っていると言えるでしょう。

 こうした抑制条件に縛られた中でのアベノミクスで、15年間「デフレが日常」という一般人に染み付いたデフレ期待が払拭されるのか、ちょっと心配です。

 安倍政権に許されている時間は最大4年しかありません。
 いえ、この1年間位でデフレを脱却できなければやはり安倍政権でもデフレは脱却できないのか、という失望が広がり政権の基盤が揺るぐのではないでしょうか。
その場合、デフレ脱却への手段・方法を知る勢力は自民党内には他になく、また、自民党以外でもわずかな議席しかないみんなの党位しかありません。

 財政法を改正して日銀による国債直接引き受けを実施するとか、更には徳川吉宗の増歩政策*1に倣い、デフレを脱却するまで毎月最大100万円まで現1万円を新2万円と交換するとか、インフレにする手段は原理的には限りがありません。

安倍内閣には、外部の雑音に惑わされることなく、一気呵成にインフレ期待を醸成する政策を、もっと矢継ぎ早に打ち出していただきたいと切に望みます。

最後になりましたが、ここに年の暮れにも立ち寄ってくださいました皆様、良いお年をお迎えください。

*1:徳川吉宗がデフレ脱却のため旧金(享保金および慶長金)100両に対し、新金(文字金)165両に交換してデフレ脱却した政策