シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

現在の日銀関係者の率直な関心事

 安倍・次期首相が白川日銀総裁に中長期的な物価安定について検討を要請してきたことに対し、今日の日銀金融政策決定会合の後、「一段の金融緩和を行なっていく。 そして次の政策決定会合で、新たな物価安定目標の議論をしていきたい。」と白川総裁から安倍氏に報告したそうです。*1

 白川総裁自身も記者会見で「中長期的な物価の安定について、執行部に指示した。」とする文書を発表し、次回の会合で日銀の物価目標について最終的な結論を出したいとしています。

 今回の政策決定会合では10兆円の金融緩和を決めたことで、合計101兆円程度の金融緩和を実施したことになりますが、市場ではここまではほぼ織り込み済みだったようで、今夕はどちらかと言えば、やや円高株安に動きました。

 市場および日本経済全体での関心は、今回の若干の金融緩和などよりも、次回の金融政策決定会合で、日銀がこれまでの1%の「中長期的な物価安定の目処」という腰の引けたインフレ対応から、先進国で標準的な2%の物価目標を掲げるのかどうかにといえるでしょう。

 これについて、日銀の金融政策に詳しい専門家としてNHKのインタビューに答えた東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏は

安倍新政権との関係を重視したということが一番だと思う。 政府サイドの要求を受け入れながらの議論になっている感じがする。

と、安倍政権の顔を立てつつ、次期首相から日銀の独立を侵されていると感じる日銀の感情を代弁していました。
 氏は続けて

日銀は今まで5年弱の政策を通じて、白川総裁の哲学において、望ましい形でのインフレを起こすという哲学でやってきたが、そこで急に大きく変えてしまうと、今までの5年弱は何だったのか、という面が出てくる。

としながら、

しかしここで政府と対立を起こすと、白川総裁の後任人事で妙なことになるのも日銀として警戒するので、そのバランスのとり方が特に1月(の制作決定会合)では注目される。

とかなり率直に日銀の揺れる心を語っていました。

 現段階での日銀の主要関心事は、政府に言われてインフレ目標を設定すると「これまでの5年はなんだったのかと世間から思われる」リスクと、だからと言って安倍政権にヘタに逆らうことで「日銀がコントロールしてきた日銀首脳の人事がおかしくなる」リスクとの間のバランスだと言うのです。

 もしかすると、日銀とその関係者にとっては、日本のデフレや、日本経済の疲弊などは関心の外なのかも知れません。

 それでもシェイブテイルの今後の予想は、大方の見るところと同じく、1月の政策決定会合で、「日銀の独自の判断のもと、2%のインフレ目標の設定」が発表されるだろうと思います。
 ただ仮に次の会合で2%のインフレ目標が設定された場合、この経緯は、日銀の政策決定の本質 日銀の政策決定の本質 このエントリーをはてなブックマークに追加で書いたような、2000年から2001年にかけての速水日銀内での、

00年9月にはゼロ金利解除案を8:1で支持*2
01年3月回復しかけていた景気は再び悪化、日経平均は1万2000円を割る。
01年3月、日銀の政策決定会合の内容が不十分ならば政府代表による「ゼロ金利政策復帰提案」が準備されているとの情報が日銀に入る。
01年3月 量的緩和は不可能としていた委員を含め量的緩和政策案(しかもこの案に一貫して反対し続けていた速水議長案)に賛成量的緩和政策が開始される。

その後、中原委員以外の複数の委員が、外部に対し「自分が量的緩和政策を主導した。」と胸を張る。

という経緯とそっくりだと思うのは、当時の政策決定経緯の渦中にいて、ただ一人金融緩和政策の必要性を説いていた中原伸之氏ばかりではないと思うのです。

*1:今日のNHKニュースウォッチ9での報道

*2:反対は中原伸之氏ひとり