「改革」はデフレ日本を救うのか
平成に入って、日本はバブル崩壊とデフレによる不況が続いています。 その間、小泉内閣時代には「いざなみ景気」と呼ばれる、戦後最長の好景気、とされる時期もありましたが、その間を含めてサラリーマン給与は下げ続け、好景気が実感できたのは、大手輸出企業と金融機関だけということで、民間の個人にとっては平成時代とは好景気のない時代と言っても過言ではないでしょう。
図1:サラリーマン給与推移(単位万円)
この平成大不況に対し政治はどう対処してきたかといいますと、バブル崩壊以降の日本の政治はつねに改革を試行してきました。*1
政治はほとんどいつでも「改革」勢力と「抵抗勢力・守旧派」勢力の対立という形でした。その改革の中身は様々でしたが、これらの改革は、デフレ景気にどのような効果があったでしょうか。
図2:平成の諸改革と物価推移
物価はGDPデフレータ(1994年=100)。日本と同様に少子高齢化が進んだドイツと韓国の物価も表示した。
このグラフを見る限り、そのどれひとつとしてデフレを短期に止める力はなかったと言えるでしょう。
日本と同じく少子高齢化が進んだドイツや韓国はそれぞれ自らが狙った物価水準を達成し続けているのに対し、
日本の諸改革はデフレには一切効果がなかったように見えます。
「あの改革をもっと何年も長期間続けていれば、物価は上昇して好景気になったのに。」といった感想を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、80年前の高橋是清は別に何の改革をすることもなく、単に日銀に引き受けさせた国債を財源に、時局匡救事業などの積極財政政策で、1年もかからずにデフレを脱却したのですから、この20年間、なぜ彼の行った金融財政政策をそのまま真似をしようとする政治勢力が出現しないのか、不思議でならないと思うのは私だけでしょうか。
図3:高橋財政期前後の物価推移
東京小売物価指数対前年比。
縦線に挟まれた期間(1932年-1936年2月)が高橋財政期。
1932年の一年間に、対前年比マイナス20%に及んだデフレは終息している。