シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

たたき台としての「リフレ政策とは何か」

このエントリーは、リフレ政策に詳しい矢野浩一氏がツイッターでリフレ政策について

基本的である「リフレ政策とは何か」については「昭和恐慌の研究」(2004)にはっきり『インフレ目標政策+無制限の長期国債買いオペ』と書かれており、その後大きな変更はありません

と書かれていて、*1インフレ目標政策+無制限の長期国債買いオペ』の組合せそのものが必ずしも(あるいはいつでも)最善か、と思ったことがきっかけで書いています。 ただ、矢野氏の考え方が間違っているとは思わないですし、まぁ、「広義のリフレ派」のひとりの、今日の段階での意見とお考えください。


1.リフレ政策の定義
リフレ政策とは、ウィキペディアに書かれている、

マクロ経済政策(主として金融緩和政策、時に財政政策も併用)を通じて有効需要を創出することで景気の回復をはかり、他方ではデフレから脱却しつつインフレーションの発生を防止しよう、言い換えれば、緩やかで安定的なインフレ、すなわち年率換算にて数%程度のインフレ率にとどめようとする政策である。

位で十分なのではないでしょうか。 そこを更にマイルドインフレを達成する手段として「長期国債の買いオペ」に限定する必要はなく、その時々により最善手は異なるというのがシェイブテイルの意見です。

2.最小限必要な手段
「その時々で最善手は異なるだろう」、とは書いたものの、次のふたつはリフレ政策に必須と思えます。

1.インフレ期待形成策
2.実質的政策転換

80年前の高橋財政期には、新聞がリフレ政策を報ずると、実際に高橋是清がリフレ政策を実行する前にインフレ転換が生じていることひとつをとりましても、民間非金融部門のインフレ期待に働きかけることは重要でしょう。
 去る2月14日に日銀がインフレ目標政策を打ち出した時 *2、円相場は他の通貨に対して下落し、株価は高騰しました。 この段階で日銀は具体的な手段を講じて、民間非金融部門にマネーが届いたわけではなく、期待先行で市場が反応しました。ただ、その後日銀白川総裁が逆にデフレ期待を醸成する言動を繰り返したため、2ヶ月ほどでインフレ期待はしぼみました。つまり、インフレ期待が醸成されるとともに、デフレ期待に逆戻りしないような実質的な政策転換も必要といえるでしょう。
 また、実際にインフレを惹起する政策を採り、マイルドインフレを実現した後を想定しても、行き過ぎたインフレ期待が生じないようにするために、2-3%のインフレ目標政策といったインフレ期待を一定の幅に誘導する政策は必須と思われます。


図1 インフレ期待形成と実質的政策転換はリフレ政策の車の両輪
政府・日銀がインフレを期待させる方針を打ち出し、
更にこれまでとは異なるインフレ誘導政策を実施すれば
更にインフレ期待が高まり、デフレは脱却できる。

3.実質的インフレ誘導政策のグラディエーション
一口に実質的インフレ誘導政策と言っても様々な政策が考えられます。
必ずしも金融政策に限らずとも、増税のようなデフレを一層悪化させる政策も、負のインフレ誘導策と見ることもできます。
図2はインフレ誘導政策をそのインフレ誘導力の順に並べてみたものです。

図2 リフレ政策のグラディエーション
リフレ政策にもインフレ誘導力で強弱はある。
増税はデフレを悪化させるので、負のリフレ政策と言える。
なお「増歩」とは徳川吉宗がデフレ脱却のために
1両を新1.65両に交換した政策。
ここで付与した政策ごとの点数は単なる目安にすぎない。

現在の日銀は、量的緩和策として国債を市場から買い入れ、民間金融部門に資金を提供しています。その買い入れる国債は現在のところ、残存期間の短いものに限られます。 野田政権は、世界で最も物価を上げていない現在の日銀について、デフレ真っ只中にもかかわらず「日銀は仕事をよくやっている」、と評価しているため、残存期間の短い国債の買い入れ位ではとてもインフレ期待に転換させることはできそうにありません。 これに対し、より長期の国債を買い入れることにより、インフレ期待をより高めることができるかもしれません。 ただ、15年という長い期間インフレとは無縁の日本ですから、更に強力なインフレ誘導策が必要である可能性もあります。
 シェイブテイル個人としましては、日本に蔓延するデフレ期待は相当に強力で、これを打破するには、政府紙幣を発行し、日銀に両替させて規模の大きい財政政策を実施する位は必要ではないかと思っています。

*1:矢野浩一さんによるリフレーション政策メモ(2012.6.17)

*2:日銀は1%のインフレの目処と呼ぶそうですが