シェイブテイル日記2

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ぶつけられたタマゴの意味

前回「赤信号皆で渡れば人が死ぬ」(2012-06-26) というエントリーで、デフレ下で消費税を上げれば、1997年の橋本増税の時と同様に(あるいはそれ以上に)企業倒産やサラリーマン給与低下、新卒者採用減が生じ、自殺者は更に高止まりするということを書きました。 
ウエブ上でも同様の主張は増えているようです。 ただ、月刊チャージャーというウエブマガジンの見解にはあれ?っと思いました。

月刊チャージャー2011年9月号
【調査】自殺予防総合対策センターに聞いてみました
自殺者激増は消費税増税のせいだった?

消費税が5%になったのは1997年だった。翌年、日本の自殺者は激増して3万人を突破。以来、日本の自殺者数は年間3万人以上の状態が続いている。今、さらなる消費税率アップが検討されてるけど、そんなことしたら日本はますます自殺大国になるんじゃないの? 自殺予防の専門家に、自殺についてのあれこれを聞いてみた!
消費税が5%になった翌年、日本の自殺者は急増した!
まず最初に、日本の自殺者数の推移(平成23年度版『自殺対策白書』より)をご覧いただこう。1997年に2万4,391人だったのが、1998年には3万2,863人に激増している。1997年に何があったのか調べてみると、消費税率が5%にアップされた年だったのだ。

ちなみに、グラフを見ると1985年前後にも自殺者が増えているピークがある。これは「バブル崩壊」の影響と考えられる。さらに長期的な推移を見ると、高度経済成長前夜の1950年代後半にもピークがあるが、自殺者数は2万人を少し超えた程度。
つまり、消費税が5%になってからの十数年、われわれ日本人は、歴史上もっとも生きづらい社会に追い込まれているんじゃないの? って見方もできる。はたして、自殺者激増の原因は消費税アップだったのだろうか。国立精神・神経医療研究センターにある『自殺予防総合対策センター』室長の川野建治さんに聞いてみた。

【川野先生】消費税のアップが社会的に大きな影響を与えたことは確かでしょう。ただし、自殺者急増の原因を消費税だけと結論付けるのは性急過ぎます。1997年以降、日本では完全失業率生活保護受給世帯数も急増しています。消費税が上がったことだけではなく、日本社会でさまざまなリスクが高まったと考えるべきではないでしょうか。
 そもそも、自殺者が増えた原因を考えるためには、自殺がどのようにして起きるのかを考える必要があります。日本の自殺率は先進国でトップクラス、世界全体でも高い水準(2010年のWHO資料では第6位)にあります。…。自殺はしばしば「うつ病」と関連づけて語られます。重度なうつ病の12カ月有病率(過去12カ月間に治療を受けるなどした人の率)は、10万人当たり2.2%、2,200人ほどです。自殺の背景にうつ病があるとされた人は自殺者のうちの40%ほど。自殺率で示された24名のうち10人ほどですね。つまり、重いうつ病の人のうち、自殺にまで追い込まれた人の比率は「10/2,200」、200人に1人程度ということになり、これもまた簡単には起こらない数字です。もちろん、自殺による死者数は交通事故の5倍程度の高い水準にありますから、気をつけるべき課題です。でも、日常生活の中で簡単には起こらず、単一の原因では説明できないのが自殺という問題であることを認識しておくべきでしょう。有名人の自殺などを報じるマスコミは、原因を単一化した「エピソード」にまとめたがる傾向がありますが、そのせいで自殺の現状が見えなくなっている懸念もあるのです。

月刊チャージャーは結論として、消費税とは関係なく、人々はいろいろな原因で自殺する、と言いたいようですね。消費税と自殺の関係を、自殺予防の専門家(お医者さん?)に聴くのは少々筋悪という気がしないでもありません。
ただ、自殺予防センターの川野先生も指摘するように、自殺の背景にうつ病があるケースは自殺者のかなりの割合になります。
以前、このブログの「現代日本でなぜ精神疾患が増えているのか」(2011-07-09 )で指摘しましたように、うつ病は日本では1999年頃を境に急増しています(図1)。 また自殺者で動機が判明したケースでは、経済的要因とうつ病が共に全体の1/3ずつを占めています(図2)。

図1 最近急増する精神疾患
精神疾患は1999年頃を境に急増している。
その内訳を見ると、増加分の多くがうつ病

 
図2 動機が判明した自殺の原因 (H21年)
自殺の原因は複雑とおもわれるが、経済的原因、
うつ病はそれぞれ1/3を占めている。

またマクロ経済学では、インフレ率と失業率には強い相関関係があることが知られています。
図3は 酒焼けワンワン氏のブログ から掲載させていただいたその相関関係(フィリップス曲線)です。


図3 日本の物価と失業率の相関関係(フィリップス曲線)
物価上昇率が高いほうが失業率が低く、日本では2000年以降は
低い物価上昇率が固定化し、失業率は高止まりしている。

こうして見てきますと、

デフレ→景気低迷→失業率上昇→うつ病→自殺

という負のサイクルが1999年前後から回り始めていて、最初のデフレを消費税が悪化させるとかんがえられることから、現在のうつ病や自殺の多発はやはり、1997年の消費税の橋本増税を起点とすると推測されます。

昨日、ある衆議院議員がブログで「昨日の採決に賛成した。遅くなりましたがブログ更新しました。…。タマゴを投げられた。批判は受けますが生タマゴは受けれません。」と呟いていました。
この方は小沢派だったはずですが、それにもかかわらず消費税増税に賛成票を投じたようです。
このツイートに対しては、同情の声よりも、タマゴをぶつけられて当然といった声のほうが大きかったようです。
 この議員のような、多数の「何となく消費税増税派」により将来この議員の支援者を含めた国民が失業したり、その子息がつけるはずの定職につけなくなり、不幸なことに自らの命を絶つ、といったことだって何千、何万と起こりうることだとおもいます。

 そう考えると、今の国会議員はまず数が多すぎます。そして国会議員の歳費目的の議員もまた多すぎるのではないでしょうか。 現在、国会議員が地域を代表するという意味合いは薄れ、霞が関だけを代表する議員だらけになってしまっています。 それならいっそのこと、国会議員の数をまず半減した上で、全員を全国区で選び、当選した国会議員の上位半数はフル任期で、下位半数は半期だけの任期で入替制にすれば、議員の先生方も、選挙対策と詭弁術以外の勉強にももう少し身が入るのではないでしょうか。