シェイブテイル日記2

シェイブテイル日記をこちらに引っ越しました。

放射線実測図を放置したのは役人だけか?

今日の各紙では、東電福島第一発電所事故の後、米国から提供された放射線実測図を政府が放置したことが批判されています。

米の放射線実測図、政府が放置 原発事故避難に生かさず朝日新聞デジタル

東京電力福島第一原子力発電所の事故直後の昨年3月17〜19日、米エネルギー省が米軍機で空から放射線測定(モニタリング)を行って詳細な「汚染地図」を提供したのに、日本政府はこのデータを公表せず、住民の避難に活用していなかったことがわかった。放射性物質が大量に放出される中、北西方向に帯状に広がる高濃度地域が一目でわかるデータが死蔵され、大勢の住民が汚染地域を避難先や避難経路に選んだ。

 政府の初動対応では、汚染の広がりを予測する緊急時迅速放射能影響予測システム(SPEEDI)の試算結果の公表遅れが問題となった。同システムの予測値と決定的に違うのは、米エネルギー省のデータが放射能の拡散方向を示す実測値だったことだ。

 米エネルギー省は原発事故直後の昨年3月17〜19日、米軍機2機に、地上の放射線量の分布を電子地図に表示する空中測定システム(AMS)と呼ばれる機材を搭載して、福島第一原発から半径約45キロの地域の線量を計測した。

 その結果、福島県浪江町飯舘村などを含む福島第一の北西方向に、30キロ超にわたり1時間当たり125マイクロシーベルトを超える高い線量の地域が帯状に広がっていることが判明。この線量は8時間で一般市民の年間被曝(ひばく)線量の限度を超える数値だった。

 外務省によると、測定結果を基に作製された汚染地図は3月18日と20日の計2回、在日米大使館経由で同省に電子メールで提供され、同省が直後にメールを経済産業省原子力安全・保安院と、線量測定の実務を担っていた文部科学省にそれぞれ転送した。文科省科学技術・学術政策局の渡辺格次長ら複数の関係機関幹部によれば、同省と保安院は、データを公表せず、首相官邸原子力安全委員会にも伝えなかったという。

 折角の情報を伝えられた外務省・文科省は、「まぁ、別にうちの省が防災対策の責任を負っているわけではなし。」と考え、情報が伝わらなかった政府では、あたかも福島第一原発から円状に危険地域が広がっているような対応をしたことは相当問題があったとは思います。 

ただ、上の地図、極秘でもなんでもなく、普通にウェブ上で公開されていたことを朝日新聞を始めとするマスコミは知らなかったのでしょうか。
次の図は、昨年3月27日にこのブログで掲載した、出所は同じ地図です。(元情報掲載日2012年3月25日)
http://www.slideshare.net/energy/radiation-monitoring-data-from-fukushima-area-03252011
(リンク先は画像をクリック;その4ページ目)
要するに、ネットで検索すれば、昨年3月にはこの地図の情報はマスコミだって得られたものだったわけです。 
 ただの素人であるシェイブテイルが簡単に取れる情報を取る努力さえせず、記者クラブなどで提供されるお上からの情報をただ流すだけのマスコミに、今回の政府の失態を批判する権利があるとはとても思えません。
 昨今の「消費税を上げれば皆が安心するので消費が増える」といった御用学者の奇説をそのまま垂れ流し続ける消費税報道と同じ構図がここにもあるように思います。

【関連記事】福島第一原発はどのように危ないのかまたどこが危ないのか