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消費税アップで税収が減ったのは減税のせい?

(前の記事)消費税・世論調査と税収の推移から続く

 昨日、消費税・世論調査と税収の推移でデフレ気味のところで消費税を上げると税収が減る、という話を書いたところ、複数の方から、消費税アップと同時に特別減税が行われたので、他の税収が減るのはそのせいではないか、という反論をいただきました。

それでは、他の税収、特に所得税がなぜ減ったかを考えてみましょう。

平成9年(1997年)に消費税をアップすると、外食産業などの市場規模がピークアウトし、GDPデフレータもピークアウトして1度も前年を上回りません。
(詳細は画像をクリック)
http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20110702

このデータには端的に筆者の言いたいことが凝縮されています。 1997年の消費税アップに先立ち、1994年頃から物価(GDPデフレータ)がデフレ気味だったところに、消費税を上げると、外食産業が廃れ代わりに中食産業が興る、といった下級財シフトが発生し、外食産業のピークアウトのようなことが、書籍業界や競馬業界などでも発生し、1997年にピークアウトした産業(ちょっと贅沢系)が少なくないように思います。

 1997年に大変大きかったのはサラリーマン給与のピークアウトです。
民間では従業員数1,000名以上の大手企業といえども'97年以降給与水準は低下を続けています。 それにもかかわらず、公務員人件費は高止まりを続けています。 結局、公務員人件費を決めるのに、民間の給与水準低下は考慮されていないようです。
では、公務員の人件費は何と連動しているのでしょうか。

このグラフは公務員人件費・民間人件費推移と、物価水準としてGDPデフレータ消費者物価指数とを併せて表示したグラフです。
サラリーマン給与はほぼGDPデフレータと連動しているようです。これに対し公務員給与は消費者物価指数(CPI)に連動しているように見えます。
(詳細は画像をクリック)http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/20120104

GDPデフレータとは、国内で取引される商品・サービスの物量を加味した物価推移です。これに対し、消費者物価指数(CPI)は、というデフレ経済での下級財シフト(デフレでは安いものを買わざるを得ない)という民間なら当たり前の部分を無視して、同じ商品バスケットを翌年も買うとすればいくらで買えるようになったか、を見ています。 企業はデフレといでども、大事な商品の価格を容易には下げません。そこで消費者物価は維持されますが、GDPデフレータは下がっていきます。
なお、賃金の方も民間は、大企業でも売上連動せざるを得ませんが、公務員給与は人事院が対応する民間の同等の肩書きの人たちの給与を調べて決定しています。
ところが、民間では公務員のように自動的に昇進させていくどころか同じ肩書きの維持も困難で、消費税により、正規雇用者が非正規化する流れさえ定着しています。

15年近く続くデフレで、野田政権が更に消費税を上げるということは、総税収を下げ、企業の売上を落とし、公務員を除く有権者の給与を下げる、ということです。
有権者が野田政権の消費税増税策にNOというのは当然と言えます。