日銀のインフレ目標政策に対する市場の反応と今後
まだまだ「検証」というには時期が早いですが、2月14日のインフレ目標政策に対して市場がどう反応しているかをみてみました。
インフレ目標政策に対する為替・株価の反応
今年1月24日に米国FRBがインフレ目標政策を明示的に導入し、追随的に日銀も2月14日にはインフレ目標政策を導入しました。これにより、昨年11月には250兆円を割った東証1部の時価総額もほぼ300兆円を回復しています。
同じインフレ率1%でも単に委員会メンバーの望ましい数字の平均に過ぎない「物価安定の理解」からインフレ目標と、日銀が組織の目標として(低いながらも)+1%のインフレ率を目指すといっただけで、東証1部だけですでにこれだけの効果があるんですね。
実際の金融緩和はわずか10兆円の資金追加と、本気度に疑念が生じかねないわずかなものですが、市場は素直に日銀のインフレ目標政策を信じているようです。 これは市場が甘い、ということではないと筆者は思います。
仮に日銀がこれ以上金融緩和の姿勢を見せなければ、当然ながら円安・株高の流れに棹をさすことになりますし、総務省が今年1-3月期の名目・実質GDPを発表した段階でも両者の差が縮まっていなければ、さすがの御用マスコミも、日銀擁護には回りにくいでしょう。 増税を目指す財務省も、増税環境を整えるにはマイルドインフレであって欲しいところでしょう。
ガイアツに弱い日銀としては御用マスコミ・財務省などが日銀擁護に回ってくれないのであれば、自己防衛的にマイルドインフレを狙わざるを得ない。 市場参加者はそこまで考えた上で、日銀のインフレ目標政策に期待を続けていると思います。
福井総裁の末期や2009年秋のような、日銀による「ふりだけ金融緩和政策」は、今回ばかりは通用しにくいのではないでしょうか。
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