シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

日本には「公務員」は何万人いるのか、またその人件費の概算

ギリシャ危機問題では、ギリシャの労働者の25%が公務員であり、公務員への厚遇が財政破綻の原因のひとつとなっていると報じられています。*1

「税金を食いものにしてきた政治家と公務員の共犯関係も危機の一因だ。(中略)1981年、現首相の父アンドレアス・パパンドレウ元首相が樹立した同国初の左派政権は、高福祉型の社会づくりを推進。診察料や学費が原則無料の病院、大学を全国につくり、職員を増やした。放漫財政の懸念も強まる中で、トルコとの緊張関係から軍事費もふくらみ、膨大な財政赤字を抱え込んだ。30年前に27万人にすぎなかった公務員は今や80万人。労働力人口の4分の1、110万人超が公務員との説もあるほど、ギリシャは「公務員天国」と揶揄される。」

それでは日本の公務員数は何万人で、その人件費は何兆円位でしょうか。
参考になるのはOECDが調査した各国の公務員数比率のグラフです(図1)。

図1 労働者人口に対する公務員の比率 (OECD,2005年)
これを見るとなんと日本はOECD諸国中最低クラスです。なんか、直感と相容れない気が…。そういえば、問題となったギリシャも25%以上という直近の報道に対し、このグラフでは15%程度。 ようするにこれは各政府の発表数に基づく数字なのかもしれません。
実際、日本では労働人口が6500万人としてこのグラフの5%を掛けた325万人は、総務省の統計数値、国家公務員94.5万人、地方公務員304.2万人国家公務員、合計398万人に近い数値です。*2

図2 日本の公務員の種類と数総務省、H18年)
 ところが、政府債務問題を考えると、この数字をそのまま基礎数値と捉えても正しい解は求められないと思われます。
 それはこういうことです。
人事院勧告に従って給料が決まる人々は750万人いる、とされています。
この数字が信憑性があることは、「人事院勧告」×「750万人」でググる官公労の書いたウェブサイトがヒットすることからもわかります。*3
 人件費って、見かけの年収の大体1.5倍位かかります。
ということは
750万×(700万円×1.5)=79兆円です。
国家予算が85兆円しかないのに!?とお思いかもしれませんが、それは一般会計の話です。 重複を除いた特別会計を含めた国家予算は240兆円と日本のGDPの半分を占めます。 また、この人事院勧告に従うのは、国家公務員・地方公務員だけでなく、国立大学などの独法職員に始まり、JA関連(農協)や、なぜか私学・私立病院も人事院勧告に従って給与が決まります。
 これら750万人の給料の原資は、税金もあるでしょうし、国が価格を決めている公立大の学費や、医療費、郵便事業などもあります。 
 狭い意味では日本の公務員は400万人ということになっていますが、この数字は、広い意味では日本には公務員に準じる人々を含めると750万人居るといっても過言ではない訳です。 人事院勧告に従って給与が決まる人々の中には完全に民間人である私立病院従事者や私立大学職員なども含まれるのを意外に思われるかもしれません。 しかし、これらの産業は、公的助成なしには立ちゆかない性質のものです。また郵便事業でも郵便切手は「証紙」です。 JAにしても自由競争で今の事業が成り立つわけではないです。
 現在のJRは民営化されて上場もしていますが、以前の国鉄時代には多くのファミリー企業があり、例えば電球1個100円のところをファミリー企業に500円で納めさせ、多額の国鉄赤字を計上していました。 この旧国鉄と同様の政府保護事業サービスに対する対価は市場競争がある場合の価格より高止まりして、隠れ税金化しています。

 長く説明しましたが、要するに人事院勧告で700万円の給与を400万円に下げれば、民間と整合性が取れる上、毎年34兆円[=750万円×(300万×1.5)]の経費削減はすぐにでもできるんですね。
 ちまちま一回こっきりの数兆円の埋蔵金出してみたり、「二番目じゃダメなんですかぁ!」なんてなパフォーマンスやってる位なら、人事院を潰して、民間サラリーマンと公務員給与を横一線にして、共済年金も潰して国民年金と一本化すれば毎年30兆円や40兆円はすぐにでも出せます。 
 海外諸国では日本よりも公務員比率が高くともそれが問題視されない理由は、ただひとつ。 人件費が市場競争の中の民間全体との乖離が日本と比べてあまりないからでしょう。

ただ、問題はこれで終わり、ではありません。
今仮にデフレ日本で公務員人件費を平均400万円にしたとしましょう。 そして、国債残高削減原資としたとしましょう。 すると、削減された年間30-40兆円の政府系支出抑制が民間の経済活動を下押しする、ということです。
結局、デフレ日本で公務員人件費を抑制しても、それをいきなり国債削減原資とするのではなく、民間経済活性化に活用して税収を増やすのでなければ意味がないのです。 そして、民間経済を活性化するにはデフレが大きな障害です。
 やはり「まずデフレを止めよ」ということになります。


阿久根市商店街の様子 
「公務員給与を下げよ」、という前阿久根市長が公務員給与を下げました。
すると阿久根市の商店街は一層さびれました。
公務員給与を下げるなら、その削減分を民間に回さないと経済は活性化
するどころか、一層疲弊します。
 この事例はデフレ日本経済の縮図と考えられます。

指宿市商店街の普段の様子
 政府・日銀によるデフレ政策で日本中にこのようなシャッター通り
 商店街が広がっています。

【追記2013.6】
その後、ウェブサイトより公務員数と賃金に関するより正確な情報を入手しましたので、以下のブログに書きました。

*1:東京新聞の首都アテネ・ルポ「政府は腐敗、国民はデモ」・2011年10月14日

*2:公務員の種類と数

*3:そのうち消されるかもしれない検索結果