シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

三題噺 欧州危機・アメリカ合衆国独立・日本のデフレ

【要約】
・現在までに欧州危機により、株式市場だけでも800兆円弱の損失が発生しています。
・欧州金融危機は、230年前のアメリカ合衆国に学ぶべきことがあるようです。
・日本のデフレについても関連づけて考察してみました。

13日の日経新聞夕刊にユーロ圏危機に関する興味深い記事が載っていました。
1780年当時の独立したての米国13州は、それぞれが独自に徴税権を持つ政府で、紙幣を別に印刷でき、多額の債務を抱え、返済の目処は立っていなかったそうです。

ノーベル賞学者が描く「欧州合衆国」 (NY特急便) 日経新聞 2011/10/13  
そこには幾多もの独立した政府があった。それぞれが徴税権をもち、紙幣も印刷できた。中央の力は弱く、各政府の協力を仰ぐしかない。だが、まともな協力が得られることはまれだった。
 「この状況は何かに似てませんか」。欧州危機について聞かれこう答えたのは10日、ノーベル経済学賞の受賞が決まったサージェント・米ニューヨーク大教授だ。  実は教授が描写した冒頭の状況は1780年代の米国だという。当時、米国は13の州に分かれ、それぞれが多額の債務を抱えていた。債務返済のめどが立たず、債券の価格は大きく元本割れしていた。 この状況に手を打ったのが各州の債権者や後に大統領となるジョージ・ワシントン、その参謀であり「強い中央政府」の支持者だったアレクサンダー・ハミルトン
 合衆国憲法において、通商政策を連邦政府に一本化し、関税を独占的に徴収できる権利を付与。連邦政府に各州の債務を引き継がせるとともに関税を大幅に上げ、これを債権の返済に充てた。この結果、債券は元本価格を取り戻し、債務危機は解決に向かった。
 米財政の歴史に関し著書を出す計画というサージェント教授は、「我々(合衆国)は、欧州がまさに直面しているような問題に対処するための、決然たる解決策の中から生まれたのだ」と指摘。「ユーロに関しては何ら新たな論点はない。難しいのは政治が決断をできるかだ」とも述べ、ユーロ圏の危機を究極的に解決するには230年前の米国に倣う必要があるとの見方を示した。*1

ギリシャ問題など欧州の財政危機に世界経済が揺れています。 
これにより、 欧州の財政危機などで日欧米だけでなく、新興国も含め世界的な株安に見舞われ、世界の株式時価総額は2011年3月末からの半年間で約10兆1309億ドル(約776兆9392億円)減少したとされています。*2

ではここでギリシャの財政問題に関する数値を並べてみましょう。
ギリシャGDP2260億ユーロ、3300億ドル(25兆円)。ギリシャ累積債務 GDP比約110%、30兆円程度です。
GDP規模を比較すれば、日本500兆円、東京90兆円、大阪GDP38兆円、愛知県GDP34兆円、埼玉県21兆円位でしょうか。
そして世界株式市場48兆ドル、3500兆円。 ギリシャ問題を発端に、世界市場から10兆ドル、約776兆円が消えて無くなりました。
勿論、今回の欧州危機では株式市場以外でも不動産・商品市場も価格下落に見舞われていますし、そもそも欧州銀行のリスク回避、貸し渋りによる実態経済への悪影響などは何百兆円に相当するのか想像もつきません。
わずか埼玉県と愛知県の間の規模の小国の経済状態がこれほどの激震を世界経済に及ぼせることは驚きです。
 
ただ、どうやればこの危機を乗り越えられるかは上記の日経新聞記事にある通り、EU圏を単一中央政府とすることを急ぎ、EU政府が単一の金融・財政政策を採れば金融危機回避は容易でしょう。 これが現実には容易ではないのは、17のEU加盟国が独立した政府と議会を持っているからです。
 17のEU地方政府(EU加盟国)が独立に意思決定するコストと言うものが少なくとも800兆円以上の世界経済損失となっているとすれば、これらEU加盟国の政府・議会メンバーに退職金を払って一旦全員退職してもらい、例えばそのリストラコストとしてEU中央政府が更に3兆円債務を加えたとしても安いものです。 *3

翻って日本。日本のデフレでの資産喪失規模はある方の計算では過去20年間で3200兆円とか。*4
この経済損失を生み続けているのは日銀によるデフレ堅持政策です。*5 日銀なぜ日本にこれだけの巨額の損失を与え続けているのか、その正確な意図はわかりませんが、日銀の面子維持(ゼロ金利中央銀行のバランスシートが拡大して自己資本率が下がったりすると中央銀行の面子が潰れる?)だとか、日銀総裁前任者の政策の無意味な踏襲などであろうとは想像されます。 
 日本のデフレを脱却するには、日銀がそのバランスシートを拡大し、日銀券を発行して政府に渡し、これを原資として財政政策を行なうことです。*6 これにより民間の景気を良くし、マネーサプライを拡大すれば、日本の財政問題も縮小していきます。 
「日本では金融政策ではもうできることは残っていない」などという無能な日銀総裁には辞めてもらって、デフレを早期脱却させられる責任感のある総裁に代わってもらうための退職金なら、たとえ白川総裁に退職金を10億円払ってでも、毀損され続ける日本経済からすればとてつもなく安く確実な投資と言えるでしょう。

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