シェイブテイル日記2

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日銀・財務省による日本経済桂剥き効果

【要約】
政府(財務省)による消費税アップと、日銀によるCPI=0%維持政策。これらが相乗的にデフレを維持させる効果について考察してみました。

このブログでは、デフレ下に消費税を増税すると、デフレが悪化して景気が落ち込むことを再三指摘しております。*1
これに対して、ある方がブログで、「当時もデフレ気味だった1997年、橋本内閣が消費税を3%から5%に上げた途端、景気は一気に落ち込んだが、その効果が14年後の現在も続くのだろうか?」との疑問を呈しておられました。
 
筆者は、この疑問に対し「桂剥き」というちょっと奇妙なキーワードが答えだと思っています。
桂剥きとは言うまでもなく、大根などを薄く剥く調理法で、日本料理などではよくありますね。(右写真が桂剥きですが、勿論本題とは直接関係はありません)
日本経済と桂剥きとどう関係があるかというと、包丁が日銀のCPI=0%維持政策、桂剥きの厚さが消費税、そして大根が日本経済、という関係かと思います。
CPI=0%に維持されると、意外かもしれませんが、その国はデフレとなります。*2
このデフレ下にある日本ではよほど価格決定力がある企業を除き、消費税を自腹で払わざるを得ない企業が多いのは周知の通りです。*3
 企業が消費税を払うために自腹を切るとは、コストカットを意味し、これは日本の誰かの雇用や給与低下に直結します。*4
 給与が減った家計では、上級財に代え、似た効用がある下級財を買わざるを得なくなります。このことがデフレを深化させますので、GDPデフレータは日本はずっとマイナスが続いています。*5 
 税務署はデフレで消費税を価格転嫁できていない現実を無視して、企業が上げた付加価値の5%を必ず持っていきます。ところが日銀では、基準年と同一商品バスケットを買うという、デフレ下では非現実的な前提で消費者物価指数(CPI)は算出されますから、GDPデフレータの下がりに比べ、CPIの下がりは小さくなります。本来ならば、消費税で減少したマネーを政府が民間に還流するか、日銀が供給しなければ民間のマネーは次第に減るだけです。 
日銀ではどうやらデフレ状態のCPI=0%を実際の政策目標に掲げているフシがありますので、日本経済はCPI=0%という「包丁」で剥かれて、次第次第に小さくなっていっている、ということです。*6
 このデフレの中、野田内閣が財務省の要求に沿って消費税アップを図れば、「桂剥きの厚みが増し」日本経済縮小にはずみがつくことでしょう。

 
 
GDPデフレータに対して、GDPデフレータ自身(破線)と消費者物価指数(CPI・赤)と単位労働コスト(緑)をプロットしたもの
上がデフレ前の1997年まで、下がデフレ期間の1997年以降。 *7