シェイブテイル日記2

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現代日本でなぜ精神疾患が増えているのか

【要約】
現代日本ではこれまでの「4大疾病」がん、脳卒中、心臓病、糖尿病に加え、精神疾患が加わり「5大疾病」となった。
・その精神疾患とは老齢者以外ではうつ病と不安障害のこと。
うつ病・不安障害は90年代終盤から急増。
・これは、’98年からの自殺者急増と軌を一にする。
GDPデフレータでみたインフレ率がプラスなら自殺率は相対的に低く、マイナスなら自殺率が急増する。
・自殺の原因の2/3は経済問題か、うつ病など。
・この15年ほど、日銀デフレと財務省による消費税増税で国民の心身が蝕まれている。
・今後の日本にはマイルドインフレ下の経済成長をもたらす政治勢力が必要。


7日の読売新聞など各紙は最近の精神疾患の急増を伝えています。

4大疾病、精神疾患加え5大疾病に…厚生労働省
画像の拡大 厚生労働省は6日、「4大疾病」と位置付けて重点的に対策に取り組んできたがん、脳卒中、心臓病、糖尿病に、新たに精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を決めた。
 うつ病統合失調症などの精神疾患の患者は年々増え、従来の4大疾病をはるかに上回っているのが現状で、重点対策が不可欠と判断した。
 同省は同日、国の医療政策の基本指針に精神疾患を加える方針を社会保障審議会医療部会で示し、了承された。この指針を基に都道府県は地域医療の基本方針となる医療計画を作る。
 4大疾病は2006年に重点対策が必要な病気として指針に明記。それを受けて都道府県が、診療の中核を担う病院の整備や、患者を減らすための予防策など、具体的な対策を立てた。医療計画は5年に1度見直され、次回は13年に予定している都道府県が多い。
 同省の08年の調査では、糖尿病237万人、がん152万人などに対し、精神疾患は323万人に上る。また自殺者は近年、年間3万人を超えているが、多くは何らかの精神疾患を抱えているとされる。
 精神疾患の急増の背景には、不況などによる社会不安の広がりや、この病気に対する認知度が高まって受診への抵抗感が薄れていることがあるとみられる。
 4大疾病 06年の医療法改正で、▽患者が多く、対策の緊急性が高い▽きめ細かな対応が求められる―などの条件を満たす病気として指定された。都道府県は、4大疾病と5事業(救急、災害、へき地、周産期、小児)ごとに、目指す医療体制を地域保健医療計画に盛り込み、実現に向けて取り組むことが義務づけられた。
(2011年7月7日 読売新聞)*1

引用記事中の図*2で5大疾病の増減を見ると、心臓病と脳卒中は漸減、糖尿病は増加が頭打ちであるのに対し、がんと精神疾患が増加しています。特に精神疾患は99年を底に急増中です。
 同じ厚生労働相患者調査で、各精神疾患の増減状況が公表されています。*3
1996年を基準年とした精神疾患別増加数に変換したものが次のグラフです。
図を見ると、近年急増している精神疾患とはうつ病・不安障害と認知症であることが分かります。認知症は日本の高齢化の反映です。つまり老齢者以外で増加している精神疾患とはうつ病と不安障害のことなのです。 
では'90年代末からのうつ病・不安障害の増加は一体何の反映なのでしょうか。

下のグラフは社会実情データ図録に掲載された自殺数の推移です。*4 

自殺は'98年から急増し高止まりしています。 職業別では、無職者(失業者など)、勤労者の増加が目立ちますが、絶対数が少ない自営業者は、増加率ではトップです。
このことは、消費税の実質負担者が中小・零細企業主であることと関係がありそうです。*5 *6
次の円グラフは、警察庁の「平成 21年中における自殺の概要」*7から、自殺者32千人中の動機判明者24千人内での自殺動機です。

多くの分析で、自殺原因の中に健康問題というのがありますが、その大半はうつ病で、うつ病と経済問題を合わせれば自殺原因の約2/3を占めています。
 筆者はこのブログで以前インフレ率と自殺者数に強い相関があることをお示ししました。*8
 右下がそのグラフです。横軸が物価指標のGDPデフレータ、縦軸が自殺者数(千人)です。'97年の消費税アップを経て、GDPデフレータがマイナスになると、自殺者は一気に急増し、高止まりしています。(消費税とデフレの関係についてはこちらこちら

これら一連のデータを眺めると、日本社会は'97年あたりから大きく変化し、うつ病・自殺多発社会に変化していることが分かります。 うつ病は自殺の引き金ともなっています。 自殺者は、失職者・勤労者・自営業者など働き盛りだった男性が中心です。 毎年1万人として、自殺が急増した’98年以降、15万人近い働き盛りの人たちが余計に自殺させられています。 またその予備軍のうつ病患者も増大中です。

うつ病・自殺が増えるルート】
デフレ(日銀)、消費税アップ(財務省)→不況→うつ病(→)勤労者たちの自殺


経済成長さえ達成すれば、財務官僚の望む税収増も見込まれます(前回の消費税アップの際には、消費税がアップした分、その後の不況などにより他の税収は減り、税収総額は増えませんでした)。 
もうそろそろ私たち日本人の精神も肉体も蝕む財務官僚とその操り人形政治家による消費税増税画策と、15年も続く日銀官僚によるデフレターゲティング政策を止めさせるべき時期に来ているのではないでしょうか。 

 菅直人率いる民主党にも、谷垣・自民党にも財務官僚や日銀官僚と戦う力も気力もありません。
現在の政権選挙は、日本人に究極の選択(どっちがまだマシか)を迫るものでしかありません。
 一方、自民党の安倍元首相、中川秀直氏、山本幸三氏らと民主党の金子洋一氏、馬淵澄夫氏ら、更にみんなの党渡辺喜美代表らの考え方は殆ど差なく経済成長によるデフレ脱却を目指しています。 このような政治家の方達が連携した、「経済成長により、日本経済のみならず、日本社会全体を救済する新政治勢力の出現」は国民が強く期待するところかと思います。