シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

外食産業の苦境と政府・日銀の過ち

【要約】
・外食産業の不振が長期化しています。
日経新聞少子高齢化と「中食」拡大が原因で、外食産業の自助努力不足と指摘しています。
・正しい物価指標、GDPデフレータを併せて考えると、日銀の過ちという全く別の視界が開けてきます。


日経新聞(2011年6月28日付 朝刊)は次のように伝えています。
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 外食産業が苦境にあえいでいる。国内市場縮小と低価格競争の激化で経営が厳しくなっているところに、東日本大震災が重なり収益環境は悪化する一方だ。先行きにも明るい材料が乏しいなか、外食各社は生き残りへの正念場を迎えている。
外食市場は1997年をピークに減少傾向をたどる。外食産業総合調査研究センターの調べによると、2010年は23兆6450億円と1997年の8割程度の水準。少子高齢化や持ち帰り用の料理を販売する「中食」の拡大などが背景にある。日本経済新聞社の2010年度の飲食業調査では、店舗売上高の上位100社の合計が前年度比0.1%減と初めて減った。
震災の影響を乗り切ったとしても、外食の経営環境が中長期的に好転する可能性は低い。こうした中で生き残りへの道をどう描くのか。海外に活路を見いだす、ブランド力を高める、他社にない独自性を打ち出す−。安さだけにこだわらない戦略が外食各社の将来を左右する大きな要因になるといえそうだ。
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 ではまず外食産業総合調査研究センターが公表している、外食産業と「中食」産業の規模推移から見てみましょう。*1
  最初のグラフがそれです。確かに日経新聞が指摘するように、1997年の29兆円をピークに外食産業の売上は減少が続いています。 ただ、もし少子高齢化が原因で外食への消費が減退しているのであれば、中食だって同様に消費が低迷していなければ話は合いません。 1997年を境に、外食が敬遠され、中食が歓迎されるような変化があった、と考えるべきでしょう。   '97年にあった変化と言えば橋本内閣によって消費税率が3%から5%にアップされ、景気が後退し、デフレ化が顕著となったことです。
そこで、今度は外食産業の規模とGDPデフレータ(物価水準)の推移を見てみましょう。
物価水準の推移と、外食産業の盛衰は見事に合致しています。 このことは給与生活者なら簡単に分かる理屈です。 物価がさがれば、製品・サービスを提供する企業の売上が下がるので、人件費を下げざるを得なくなります。すると、サラリーマンなら昼食は外食だったものを弁当を買って済ますとか、夕食ならレストランだったものを、惣菜屋でかった食材を家で食べるなどの行動の変化が起きます。そこで、外食産業は衰退し、外食産業のニーズを代替する中食産業が急に伸びた、ということが推定されます。
ところが、日銀が物価水準を測定しているという「消費者物価指数」いわゆるCPIは、「前年と同一の製品の組み合わせを翌年買えばいくら価格が変動したか」を見ていますから、レストランでのメニューの価格改定は反映されても、中食に顧客を奪われて倒産したレストランの売上などは全く見えない欠陥があります。 実際、'97年以降のデフレも、CPIで見れば殆ど物価変動がないように見えてしまいます。
 これに対し、ここに表示した物価指標、GDPデフレータならば、レストランから弁当への乗り換えのような実際の動きも反映されます。 経済学者の言葉で言えば、「CPIには代替バイアスがあり、GDPデフレータには代替バイアスがない。」ということですが、別に難しく考える必要はなく、現象から見れば
「橋本内閣が消費税を上げたら、景気が後退して、デフレが顕著になり、所得が下がった勤労者はレストランを諦めて弁当を食べるようになった。」という話です。
これらの事実から、右のグラフのように、なぜ消費税アップを境にGDPデフレータが下がるのか、日銀が好むが、代替バイアスを反映しないCPIはなぜ下がらないのかが分かります。また、我が国の優秀な日銀はCPIが一定になるように調節はしているが、それは正しい物価水準であるGDPデフレータでみれば物価が下がるようにキャッシュを減らし気味にしていることも推定されます。





以上のことから、日本政府と日銀が取るべき政策としては、
1)政府は橋本内閣の過ちを直視し、景気が低迷している日本を更に不況の底に叩き込む消費税アップはしてはならない。
2)日銀は間違った物価指標指標CPIに代えて正しい経済指標GDPデフレータで物価を判断し、現在必要なキャッシュが供給されていない実情をよく認識し、例えば数十兆円分の国債を直接引き受けるなどの適正な手段で政府に財源を提供する。
という極めて単純な結論が導かれます。

景気低迷、日銀によるCPI0%のデフレターゲティング政策下で、消費税を上げればどうなるか。 
菅・野田・与謝野・仙谷の四人組や、マスコミにはよく考えて欲しいところです。

 それにしてもこうした事実は、FEB議長の2倍もの年収に安住する日銀総裁の目には全く映らない事実なのでしょうか(コメント欄参照)。


[ 追記1]デフレになったら消費者物価指数はあまり下がらないのに、単位労働コストはひどく下がる*2に続く
[追記2]下のコメント欄の元ネタ*3

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