シェイブテイル日記2

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打倒!日銀史歪曲政府!!

報道によれば、藤井官房副長官は、次のような日銀法改正への反対意見を述べたそうです。
(以下引用)−−−−−−−−−−−−−−−
藤井官房副長官:日銀法改正案に反対
 藤井裕久官房副長官は24日の記者会見で、民主党の「デフレ脱却議連」やみんなの党通常国会への提出を目指している、インフレ目標の採用を含む日銀法改正案に反対する考えを示した。藤井氏は「デフレ脱却のために日銀法を変えるという議論は全く違う」とした上で、1942年の戦時立法で政府の指示により日銀が紙幣を増発したことが悪性のインフレを招いたと指摘した。政府の財政状況が厳しさを増す中、与野党双方から日銀のデフレ脱却に向けた金融緩和策は不十分との声が出ている。民主党のデフレ議連は議員立法による日銀法改正案提出を目指している。みんなの党も独自に改正案を提出する見込みで、自民党の一部に同調する動きが出ている。
−−−−−−−−−−−−−−(毎日jp;引用終わり)

先のエントリーで、日銀は独自にマイナス1%のデフレターゲットを設定し、これを全くブレなく達成していることを述べたところです。
こんなことが可能なのは、日銀の金融政策が、手段だけでなく目的までも政府から独立してしまっているからです。 
藤井氏の指摘が妥当なのかについて、このブログで関係する過去記事を紹介します。

「昭和恐慌のデフレをどうやって脱出したか」(2010年9月12日記事)
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 1920年代後半、米国では株式市場がバブル化し、1929年10月24日(木)、ついにバブル崩壊の日を迎えます(暗黒の木曜日)。 日本ではこの世界恐慌の影響は日本にも波及し、昭和恐慌と呼ばれていました。
当時の先進国では自国通貨の価値を守るために金本位制をとることが主流となっていました。
日本も例外ではなく、金本位制を堅持していましたが、国内経済は現代よりも酷いデフレに苦しんでいました。
1931年(昭和6年)犬養内閣の蔵相となった高橋是清は、同年12月、金輸出再禁止(=金本位制離脱)を行い、翌32年には日銀による長期国債の引き受けを決定しました。
 この前後の経済状況を下の表にまとめてみました。
表中色分けは 寒色系()がデフレ・不景気、 緑()がマイルドインフレ・好景気、暖色系()がインフレ・好景気を示します。

 おさらいになりますが、金本位制下では紙幣はいわゆる兌換紙幣であり、価値の裏付けとして金の保有が必要です。
そのため保有する金の量以上に紙幣を供給することができません。 これがデフレ圧力の原因となることから、高橋是清金本位制からの離脱を決めたわけです。
 また国債を日銀に引受させることにより、紙幣を市中に十分に供給することができるようになりました。
上の表でも、’31年までのデフレ傾向が払拭され、一転してインフレ側に転換し、同時に産業が活性化したことがわかります。 その後の4年間の高橋財政の期間は、低率のインフレと高成長が達成されました。このように高橋是清リフレーション政策は十分その意図通りの成果をあげたのでした。 
ところが、この時期の日本は軍備拡張期で、軍部は更なる資金を要求しましたが、高橋是清は軍備に対する過剰な資金供給は問題が多いとしてやや抑制気味の財政方針を示したところ、これに恨みをもった青年将校により36年高橋は暗殺されてしまいます(2・26事件)。
 その後は、国政は軍部に牛耳られるようになり、大量の通貨供給の結果’37年には物価は前年比20%の上昇を見るようになります。

要するに高橋是清が蔵相をつとめた4年間(高橋財政期)は、長期国債の日銀引き受けなどで必要十分な通貨が供給されることにより、世界にさきがけて世界大恐慌から日本が脱出した時期にあたっているのです。
それを高橋が暗殺された後の、財政の暗黒時代の主因が高橋財政にあるかのような藤井官房副長官の発言は歴史的事実を歪める発言と言わざるを得ません。

ところで皆さんはこのお札、ご存知でしょうか?

これは昭和26年に発行された50円札です。
描かれている人物は高橋是清。 蔵相・日銀総裁を務めた人物です。
歴代日銀総裁中、紙幣の肖像に描かれている人は高橋是清以外にはいません。

昭和26年当時は、昭和恐慌によるデフレから日本を救った人物として政府・日銀内ではっきりと認識されていた証拠と言えるでしょう。 にも関わらず、昨今の日銀総裁は徒にデフレを放置するのみならず、国債の日銀引き受けをしないことを「人類の英知」などとトンデモ発言をしています。
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 現在のデフレ・円高は、狂信的なデフレ信者・日銀が世界一の金融引き締めを図り、その後欧米諸国が金融緩和を進める中でも対応を怠ったことにあるのですから、日銀を早急に政府のコントロール下に置くことが肝要でしょう。 
ただし、藤井や与謝野がいる歴史歪曲政府に日銀をコントロールされては事態は更に悪化するでしょうから、まず日銀史歪曲政府打倒→日銀法改正が順序でしょう。