シェイブテイル日記2

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事業仕分けであるべき優先順位

事業仕分け第三弾も終盤となりました。
今日はこれを材料に、優先順位付けについて考えてみたいと思います。

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仕分け、一括交付金で議論=首相と閣僚らが勉強会
 菅直人首相は21日午後、閣僚と与党幹部を首相公邸に集め、政策勉強会を開いた。行政刷新会議による事業仕分け第3弾や、国庫補助負担金の一括交付金化などについて意見交換する。
 18日までの仕分け第3弾は、特別会計を対象にするとともに、過去の事業仕分けの結果を検証する「再仕分け」を実施。無駄の削減による財源捻出(ねんしゅつ)額は最大で9000億円弱となった。21日の勉強会では、蓮舫行政刷新担当相がこうした結果を報告し、2011年度予算編成で反映させるよう求める見通しだ。
 また、使い道が限られている国庫補助負担金を地方自治体が基本的に自由に使えるようにする一括交付金については、導入初年度となる11年度の取り扱いについて基本的な考え方を取りまとめるとみられる。
 尖閣諸島沖の中国漁船衝突のビデオ映像流出事件を踏まえた情報保全の在り方や、今後の経済見通しなどについても議論する。
 勉強会には、海外出張中の細川律夫厚生労働相を除く全閣僚と、民主党鉢呂吉雄国対委員長国民新党亀井亜紀子政調会長らが出席した。(時事ドットコム 2010/11/21-15:48)
(引用終わり)--------------------------------------------

仕分けをしても、既得権益者らからの巻き返しにより復活する無駄な予算があり、これに対して「再仕分け」がなされます。しかし、この再仕分けにも強制力がないなか、無駄の削減による財源捻出額は「最大で」9000億円弱ということは、9000億円に遠く及ばない額(分かりませんが2−3000億円程度?)が無駄の削減成果となりそうな雲行きで、政府関係者からも仕分けは必要ない、という声が漏れ伝えられています。
本気で無駄を削減する気だったのであれば、仕分けは本来はどのようにすれば良かったのでしょうか?

ここで優先順位付けの考え方が重要になってきます。
企業内で複数の事業案があり、予算制約がある中でこれらの優先順位を決める、というのは利益の中期的予測が必要になりますので、そう簡単ではありません。
これに対し、事業仕分けでは重要なのは「予算削減に対する寄与」だけですから、すごく簡単です。
要するに総額が大きいものから順に時間をかけて検討すれば良いのです。
国の歳出(図1左)をみますと、カテゴリーとして歳出の金額が大きいのは、国債費>社会保障費>地方交付税といった順番になっています。
H22一般会計
図1 H22年 歳出と歳入

これらのうち、現在の枠組みでは国債費の支払い減額をするとすれば、それは債務不履行(デフォルト)を意味しますから実際的ではありません。 社会保障関係費も単純に削ることが出来る部分は限られるでしょう。地方公共事業もこれ以上の削減は困難なほどに削られています。 そうすると、やはり削減余地は限られるってことか、となってしまいそうですが、ちょっと待ってください。 大変大きいカテゴリーが歳出のグラフから落ちていますね。 
そうです。公務員人件費です。これは一般企業の経費のように人件費として計上されず、あたかも国民へのサービスの費用のような顔をして「地方交付税」「文教費」「防衛費」「その他」などの項目の大半を占めています。
公務員人件費というのは一体いくらぐらいか、というと、「国家公務員5兆円」というような出来る限り狭く人件費をとったデータは国から公表されていますが、正しい総額となると、正しい数字は公表されず、国会議員でも推論して国会で討議しているほどです。 ただ、以前書いたように、国家公務員100万人、地方公務員300万人に約1000万円/人かかっていると推定すれば、公務員人件費総額は国家公務員で10兆円、地方公務員で30兆円(このかなりの部分は地方交付税)ですから、国の歳出からだけでもざっくりいって2−30兆円ほどは公務員の懐にはいっている勘定になるわけです。 ですから仕分けを本気でするのであれば公務員人件費から削るべきだったのです。公務員人件費を2割削ります--そう宣言すれば、事業仕分けの節約額の10倍程度の金額はすぐにでも捻出できるのですし、元来、国民の何割かは、民主党は公務員人件費を2割削って(まだまだ差は大きいものの)民間との賃金格差を縮めてくれるだろう、という期待で民主党に票をいれたはずですから、仕分けを事業仕分けと銘打って、民間に還流されるはずの事業部分を削り、肝心の、コストの主要部分っである公務員人件費を削らないのであれば、やはりその理由を弁明するひつようがあります。
 徹頭徹尾、最重要部分に手をつけないのが事業仕分けなのであれば、事業仕分けももう止め時なのかもしれません。