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ゼロサムメンタリティ

最近、このブログでは、意思決定論の基礎の話も時々するようにしております。

ゼロサムゲーム」っていう言葉は皆さん聞かれたことがあるかと思います。
丁半博打、その他のギャンブル類は、胴元の取分(テラ銭)も含めると、全てゼロサムゲームということは直感的にも分かるかと思います。
これに対し、非ゼロサムゲームというのもあります。自分の参加しているゲームなり市場なりで、ゼロサムゲームが行われているのか、非ゼロサムゲームが行われているのかは、取引での判断(その取引に参加すべきかどうかも含めて)に影響しますから、時々意識しておいて損はありません。

皆さんは、株式市場での取引はゼロサム・非ゼロサムのどちらだと思いますか?
私は株式取引参加者の中には、どうもこの点を間違って認識している人が多数いるような気がしています。
といいますのは、「買い豚、涙目〜。」とか「売り豚、踏み上げられたね。」(後者は日本語としてもどうかとおもいますが)とかいうような、掲示板へのカキコミを見ると、書いた方はどうやら株式市場はゼロサムゲームと勘違いしているな、と思うからです。
そうです。株式市場は非ゼロサムゲームなのです。ゼロサムゲームと非ゼロサムゲームは何が違うかといえば、同じ大きさのパイを取り合っているのか(ゼロサム)パイの大きさそのものが取引で変わっていくのか(非ゼロサム)の違いです。 東京市場に限りませんが「株式市場300兆円回復」などといった記事が日経新聞などに出るように、株式市場の規模(パイ)は取引の瞬間ごとに変動しています。極端な例ですが、例えば上場廃止直前の日航株などは最後には1カイ2ヤリ状態(株価が1円と2円との間を往復)になりましたが、この場合は日航株の時価総額時価が1円と2円になる度に、半額と2倍とを繰り返していました。それはとてもパイが一定などと言える状態ではありません。
また日航株が上場廃止になってしまえば、時価総額はゼロ円。カラ売りしていたわずかな市場参加者を除き、日航株を取引していた全員に損失が発生しました。
 では株式の取引をゼロサムゲームとの思い込みはなぜ発生するのでしょうか?
自分が損をすれば、その発生原因は、自分の取引相手だった、という考え方を、ゼロサムメンタリティと言います。
これは世の中の取引がゼロサムゲームだという単なる思い込みから発生する、一種の幻想のようなものですが、
「売り豚」「買い豚」と掲示板上で叫びあう姿は、自分の無知をさらけ出し合っているようで、見ている者まで恥ずかしいと感じているのは私だけでしょうか。

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これからも、株式などを題材に、意思決定論について書いていきたいと思います。
興味があれば、またよってください。。
 
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