シェイブテイル日記2

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イラク戦争開戦秘話

今日は、日銀・デフレ系でない記事を書きたいと思います。
意思決定学。 余り馴染みがない言葉かもしれません。
ただ、個人あるいは企業が一般に何かをしようとするときに、意識するしないに関わらず、大小の決断、意思決定を行っています。 大はTPP参加の是非から小は今晩のおかずにいたるまで、2つ以上の選択肢に対し価値判断をすることはしょっちゅうあります。 この2つ以上選択肢がある際により優れた価値判断をするための道具となるのが、意思決定学とよばれるものです。 ここにひとつ、ごく簡単な例を出します。

 イラク戦争の開戦に至る経緯です。
 2001年に就任したジョージ・W・ブッシュ大統領は、就任直後から湾岸戦争後の武器査察に対するイラクの非協力姿勢を問題にしていました。その頃、サダム・フセイン大統領は密貿易で調達した資金で軍備の増強を行っているという観測がありました。
そこで、命を受けた諜報機関のアナリストたちはイラク周辺のスパイ衛星写真を分析した結果、サダムが過去に化学兵器製造に使ったものと同型のタンカーが最近になって約2倍に増加していることに気づきました。
彼らはサダムの陰謀の動かぬ証拠として大統領・議会にこのことを含めて記載したサダムの化学兵器製造プログラムに関する報告書を送り、これがイラク戦争の開戦につながりました。
ところが、イラクへの警戒を強めていた国防総省・国家偵察局は極秘裏に(諜報機関にも知らせず)、イラク周辺での警戒を強め、衛星写真撮影枚数を以前に比べ2倍以上に増やしていました。 
 実際には以前と変わらない数のタンカーが約2倍の写真に撮られていたのです。
 その結果、何千億ドルも戦費を費やし、何千もの人命を失った戦争への道が開かれてしまった、ということです。(USニュース&ワールドリポート誌 )

二倍の写真に二倍のタンカーが写っていたのですから、米国の諜報機関国防総省とが警戒を強める前と後とではイラクのタンカー運用状況に特に変化はなかったわけです。それにも関わらずタンカー数急増を報告した「サダムの化学兵器製造プログラムに関する報告書」、米国がイラク戦争開戦の重要な鍵となってしまいました。

 同様な話はよくあり、例えば統計によれば、世界的な言語使用人口は
中国語(13億人)
英語 (5億1000万人)
ヒンディー語(4億9000万人)
の順だから、英語使用国民は、第1外国語に中国語、第2外国語にヒンディー語を学ぶべき、という「分析的な判断」も、中国・インド両国が国内だけで10億人以上の人口を抱えていることを知っていれば本当にそうするべきか再考するでしょう。
要するに母数がどれだけの中で話をしているのかが重要、ということです。

今日は意思決定学の基礎の基礎の話でした。 今後しばしば、意思決定学についても書きたいと思います。

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