シェイブテイル日記2

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経済学者とはどのような人々か

今日のエントリーの内容は、私個人の、狭い経験と知識から見たお話であることをお断りしておきます。

一般的に、「経済学者」といえばどのような人が思い浮かぶでしょうか? まず想像されるのは、しっかりした考えに基づき、日本の経済全体を憂え、経済界の人々も思いつかないアイディアを出す人。 実は私(筆者)自身もぼんやりとそのように思っていました。

もうだいぶ前になりますが、仕事(本業は全く金融系ではないです)でちょっと必要になり、オプションの理論価格が分かるというブラック-ショールズの式というものをよく理解する必要に迫られたことがありました。ブラック-ショールズ式といいますのは、1997年にノーベル経済学賞を取ったフィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズが開発し、また解いた確率微分方程式です(下式はその解)。

今日書く内容とこの式の意味とは直接の関係はありませんので、内容の説明はしませんが、当時の私はこの式の解法書を睨みながら通勤電車内での時間を1週間分かけ、ようやく解き方をなぞることができました。
解けてみると、大変よく出来た式であり、また解法もエレガントとしか言いようのないもので、ブラックとショールズはよく解けたな(偏微分方程式は解けるとは限らない)と感心しました(私は解説本を読んでますからそりゃとけますw)。
ただ、解き始めから気になっていたことがありました。この式は、オープンな、株式市場などでの価格変動を記述しているのですが、その前提として、「株価はランダムに動く」ということが重要な仮定となっていたのです。
株式を売買したことがある人ならほとんど誰でも、株価がランダム(=価格分布が正規分布になる)には動いていないことは知っていると思います。 株価などはそれ自身が動くことで動いていったりします。決してランダムではないのです。
しかし、経済学的なモデル(しばしば偏微分方程式がでてきますw)の検証をしようとした場合、重大な過ちから出発していようが、この式にのように、簡単な数値を入れると(一応適正なオプション価格が出て)、正しい結果を手にしたような気になります。 しかもその検証をしようとすれば、多大な時間をかけて、<間違っているかもしれないことを正確に(w)理解しなければなりません。

で、このブラック・ショールズ式を考案したマイロン・ショールズらが参加したヘッジファンドLTCM(ロングタームキャピタルマネジメント)は、当初は大変うまく行っていたのですが、開設4年目で、正規分布から大きく外れた事例に遭遇し、経営破綻ました。この件は、1997,8年当時のアジア通貨危機と、その煽りを受けて発生したロシア財政危機とに絡み一時は大変に有名な話でした。

ここからが私の偏見になるのですが、経済学者というものは、経験に裏打ちされていない(前提が間違っているかも知れない )理論にこだわり、経済という現象の一部は良くわかっても、経済全体はわからない、ということです。
経済学者と経済人は全く違う、似て非なるものです。
特に誰がとは敢えて申しませんが、現在の日銀政策委員会メンバーには経済学者と経済人がいますが、経済学者の発言を聞きますと、自信たっぷりに間違えていることがよくあります。ご本人は、現実の経済実体はご存じないので、まず一生その間違いにも気がつかないのでしょう。

一方、同じ日銀政策委員会メンバーでも、経済人は全く違います。日銀審議委員になると秘書と課長補佐クラスが調査補助としてつくそうです。本来はこの課長補佐、政策委員の調査業務の補佐が役目、というのが表向きの立場なのですが、経済人委員が日銀の方針にそぐわない意見を出すと、日銀当局(事務方)から課長補佐クラスが叱られると言うことです。 哀しいかな、経済人は皮膚感覚で正しいことを考える訳ですが、理論武装が弱いと事務方の事前説明に押し切られるとか。 このあたりにも、日銀がなぜ正しく方向を決められないかだとか、日本の官僚のいやらしさだとかが滲んでいるのでしょうか。

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まるっきりの草の根運動ではありますけれど、事実に基づいて「デフレは日本だけの特殊な状況であり、日銀がこれを治したければ治せる」という正しい認識を広げようと思っております。
このような考え方に賛同していただけるのなら、このブログのあるページのコピペでも結構ですから、ネットを通じて、あるいは家族の方にでも、デフレってこんなもので、こうすれば治せるって話を皆様の周りに広げていっていただきたいのです。
よろしくお願いいたします。