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デフレ脱却には包括緩和は無効で政府紙幣が有効(1)

さて、このブログでは日本のデフレの現状と、これに対する主に日銀の対応についてデータを中心に追っております。
最近の日銀の包括的緩和、あるいは速水・福井総裁時代の量的緩和といった施策は多少の効果はあった(あるいは今後期待できる)と思いますが、これでデフレが脱却出来るかといえば、私はほぼ無理だと判断しております。
それは10月8日の三連記事で書いたように、日銀がいくら市中銀行に資金を提供したとしても市中銀行と資金が必要な中小企業や個人との間には実質高金利の壁がありブタ積みになった資金は国債購入に回るだけだからです。
では、デフレを脱却する手段はないのか。またもしデフレ脱却が可能だとすれば一体どうすればよいのか。 

私はこの問いの答えは政府紙幣の発行であろうと思います。
ではなぜ政府紙幣が有力なデフレ脱却手段なのでしょうか。

デフレを脱却するためには、政府→非金融部門というルートで資金を提供する必要があります。
実際、かつての自民党時代には大型の公共投資などの形で政府→非金融部門(一般の民間)への資金提供を試みていたわけですが、その財源は国債発行でした。
この国債発行によるデフレ脱却構想は国の長期負債が積み上がっただけで、民間にカネは回りませんでした。
その理由は、「 国債は本当に右のポケットから左のポケットに金を移すようなものか? 」でご説明したとおり、国債の本質として最終的には「国民からの徴税で銀行が儲かる」 という金利の効果の部分だけが残るので、結局民間が、国債由来のカネで潤うことはないのです。
しかし、この国債によるデフレ脱却の失敗には、成功への重要なヒントが隠されています。
それは「国債金利さえなければ、それは永遠に借り換え可能であり、永遠に借り換え可能な借金とは要するに返さなくても良いカネ」だということです。
かつての公共投資(政府→民間へのカネの提供)の財源が、もしも無利子の国債であったのならば、政府として永遠に誰にも返す必要はなく、カネは民間にでたままにすることも可能だった訳です。
実は政府紙幣というものが、この無利子国債とほぼ同じ性質を持っているのです。

政府紙幣というと馴染みがないようですが、皆さんが毎日使っている硬貨類は政府貨幣(政府紙幣とは素材の違いだけ)であり、案外身近なものだと言えます。
また、政府紙幣自身も明治政府も発行していましたし、ケネディ政権時代のアメリカも発行していました。
現代では香港政府やシンガポール政府も発行しています(ウィキペディア政府紙幣)。

しかし、ここで「そんな、急に政府が新たな紙幣を発行しても、ややこしいだけではないの?第一そんな紙切れが信用を伴って流通するの?」
という意見がありそうです。 (続く


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