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日銀の包括緩和の理由、分かる人はもう分かってます

日銀は先程政策決定会合を開き、包括的緩和政策の具体策を提示しました。
それによれば、
● 買入れ資産ごとの買入限度額
       長期国債国庫短期証券:3.5兆円(うち、長期国債1.5兆円程度)
       CP等・社債等:それぞれ0.5兆円程度
       指数連動型上場投資信託ETF)0.45兆円程度(認可取得を条件とする)
       不動産投資信託(J─REIT) 0.05兆円程度(同上)

日銀さん。 資産買入の桁は正しいですか?
 日本の上場企業の時価総額は300兆円弱
         J-REIT時価総額は5兆円ですよ。
それぞれのたった0.1−1%の資金で一体どうしようというのですか?


でも今回の日銀の措置の理由、マスコミでも分かっている人はもう分かってますよ。

(以下引用)−−−−−−−−−−−−−−
日銀、包括緩和の背景
「日銀法改正の動き」封じ込める狙い

2010.10.19
連載:森岡英樹の金融スクープ

白川方明総裁の日銀にとって最も痛いのは日銀法の改正か【拡大】
 日銀は今月5日、政策金利を現行の年0・1%から年0〜0・1%に引き下げる追加の金融緩和を決めた。4年3カ月ぶりの実質的なゼロ金利の再現であるが、同時に5兆円程度の基金を創設し、金融機関が持つ多様な資産の買い入れを行うことを決めた。バーナンキFRB議長がかつて、デフレに苦しむ日本の処方箋として、「日銀は株でも不動産でも買えるものは何でも買え、買うものがなければケチャップでも買って資金供給すべきだ」と発言したことを実践したような措置であるが、「TOO LATE」の感は否めない。

 白川総裁は一連の措置を「包括緩和」と表現し、「異例の措置」であることを強調しているが、内容は「TOO SMALL」。デフレ脱却までゼロ金利を継続することを明示したこと、基金の創設で多様な資産(長短期の国債約3兆5000億円、CP、社債、指数連動型上場投信ETF不動産投資信託J−REITなど約1兆円の計5兆円)の買い上げは評価できるとの意見もあるが、米国が追加の金融緩和を打ち出すことが確実になっている中、焦点の為替(円高是正)への影響は限定的。また、企業の資金需要が欠落する状況下で、ゼロ金利が復活したとはいえ、設備投資に踏み出そうという企業は少なく、資金需要が目に見えて盛り上がるとは思えない。

 実は、この追加の金融緩和策が景気対策としてあまり効かないことを一番、熟知しているのは日銀に他ならない。ではなぜ、日銀は金利機能の放棄に等しい、ゼロ金利にふたたび足を踏み入れたのか。狙いは別のところにあるというのが金融界の共通した見方だ。それは今国会で浮上している日銀法改正の動きを封じこめることにある。

 経済財政相に就いた海江田万里氏は9月18日の会見で、日銀法の改正に言及し、日銀法に雇用の最大化を盛り込むほか、「インフレターゲット」の導入を示唆した。いわば日銀のFRB化を意図したものであるが、これに危機感を覚えた日銀が、ゼロ金利の復活と基金創設という新手の施策で、政治の目を日銀法改正からそらそうとしたとも取れなくもない。

 その意図がよくわかるのが、肝心な基金の規模に上限5兆円というタガをはめた点にある。日銀がバランスシートの悪化に目をつむってリスク資産を買い上げるのは5兆円まで。これでは包括緩和の限界を市場に見透かされてもいたしかたない。

 興味深いのは、この「包括緩和」と並行して日銀のホームページで公表されている「今次金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策」であろう。この中で、「日本銀行のバランスシートの変化と担保の受け入れ状況」として、日銀がいかに自行のバランスシートの悪化を顧みず、多様な資産を買い上げることで金融危機に対応してきたかを、図表を駆使して強調している。

 日銀にとって、今回の「包括緩和」は、自己評価すれば清水の舞台から飛び降りたような思い切った歴史的な決断かもしれない。しかし、世界恐慌に匹敵するような世界的な経済危機下で、各国の中央銀行は政府と一体となって危機脱出に向けて動き出している。日銀のみが唯我独尊を決め込むことは許されない。
−−−−−−−−(引用終り)


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