シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

日本のデフレ:確かに魔法の杖はないが(3)

日本のデフレ:確かに魔法の杖はないが(1)
日本のデフレ:確かに魔法の杖はないが(2)

(続き)

さて、2006年時点では、日銀では消費者物価指数(CPI)で0%の物価変動を目指していました。
しかしさすがにCPI0%ではデフレ真っ只中、という意見がでたのでしょうか。
昨年12月19日、白川総裁は日銀がデフレを容認している、という世論の「誤解」に対し、
同日の会合では、従前の「0〜2%程度の範囲内」から「2%以下のプラスの領域」に変更した、と報道されました。

物価の狙いを以前のCPI対前年比0%から、「2%以下のプラスの領域」に変更、ということは凡そCPI=1%程度を目指す、ということなのでしょう。
このCPI=1%というのはどのような状態なのでしょうか。

次もIMFのデータで、日本の物価水準推移をグラフ表示したものです。

日本の物価水準推移

赤い線が日銀が物価指標としている消費者物価指数(CPI)です。 破線の部分(2009年〜2010年)はIMFの予測です。
これに対し、青い線はGDPデフレータと呼ばれる別の物価指標です。 

CPIは統計の習性として、上方バイアスというものがあると言われています。
つまり、CPIで測定した物価は本来の物価水準より上側に誤差を生じているというものです。
これに対し、GDPデフレータは、エネルギー価格の影響を受けない、上方バイアスがない、と言われています。
GDPデフレータでは逆に下方バイアスがある、という説も聞きますが、日銀がこれまでの狙いCPI=0%(これも中期的に達成していませんが)から、CPI=1%に狙いを変えたとしても、デフレ脱却は容易ではないように思います。

なぜ、CPI=2%だとか、3%だとか明らかにデフレを脱却できそうな水準を狙わないのか不思議で仕方がありません。


日銀・白川総裁は、1月29日の会見で、
『物価はしばしば経済の体温に例えられる。体温だけを人為的に長期間にわたって引き上げることは可能ではない。基調的に体温が上がるためには、それ相応の体質改善や、場合によっては、適切な治療も必要だ」と指摘。同じことは「デフレ問題への対応についても言える』
と述べたそうですが、これまで見たように、日本以外の大半の先進国は、物価水準を適度に引き上げていますので、体温はともかく、物価を人為的に上げられないとは、事実誤認に基づく発言と言えます。


会見で日本の物価上昇率が他の先進国に比べて低い理由について、白川総裁は

1.流通の合理化と規制緩和
2.賃金が1990年代後半以降、持続的に下落したこと
3.将来の成長期待が低下していること
−を指摘したそうです。

しかし、
1.流通の合理化、規制緩和は世界中で行われていますし、90年代から、日本が世界一規制緩和をすすめた、というわけではないでしょう。
2.賃金の下落、これが原因なんでしょうか。
デフレで企業の売上が上がらないから、コストとしての賃金を下げざるを得ないのだと思いますが。
3.日本の将来の成長期待を下げているのは、一体誰なんでしょう?

昨年までに、欧米の中央銀行、例えばFRBが実施したように、リスク資産を1兆ドルの桁で購入し、中央銀行券を発行してもハイパーインフレどころか、特にインフレが顕著になったようにも見えません。

こうした実例があってさえ、なお今でも日銀はデフレではなくインフレをおそれているのでしょうか?
日銀デフレの目次へ)

このブログでデフレについて読者の方から好評価だった記事のランキングも作ってみました。
経済分析ランキングでの10位以内定着を目指しています。よろしく!⇒