シェイブテイルのデフレ脱却実践記

シェイブテイル日記ではデフレ経済研究を行ってきました。今後はこれをデフレ脱却実践につなげます。

日本のデフレ:確かに魔法の杖はないが(1)

1月29日、日銀・白川総裁は次のような講演を行いました。

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日銀総裁:デフレは流動性だけで解決せず−魔法の杖はない
1月29日(ブルームバーグ):日本銀行白川方明総裁は29日午後、都内で講演し、デフレの根本原因は需要不足であり、「流動性の供給だけでデフレが解消されるわけではない」と語った。また、デフレを脱却するために「魔法の杖」はないとした上で、新興国の需要の取り込みや生産性の向上に地道に取り組む必要があると語った。

  金融政策については「極めて緩和的な環境を維持していくことが必要」と言明。日銀は「日本経済がデフレから脱却し、物価安定の下での持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題だと認識している」と述べた。さらに、「今後、金融市場の安定が損なわれることが懸念される可能性が出てきた場合、日銀は金融市場の安定を確保するために、迅速・果断に行動する態勢を整えている」と語った。

  国内の景気は持ち直しているが、「国内民間需要の自律回復力はなお弱い」と指摘。先行きも持ち直しが続くものの、「2010年度半ばごろまでそのペースは緩やかなものとなる可能性が高い」と語った。

  日本の物価上昇率が他の先進国に比べて低い理由について、白川総裁は?流通の合理化と規制緩和?賃金が1990年代後半以降、持続的に下落したこと?将来の成長期待が低下していること−を指摘。その上で「デフレの根本原因は需要不足」であるが、「未曾有の世界的なバブルが崩壊した今日、従来と同じ財・サービスの供給能力を埋めるだけの需要が生まれてくることは期待できない」と述べた。

 デフレの根本的な原因を直視する必要

  また、金融システムが不安定化の危険にさらされている時は、中央銀行のバランスシート拡大、流動性の供給は、金融システムの安定を確保することを通じて「物価のスパイラル的下落を防ぐ上で極めて効果的だ」と指摘。ただ、「いったん金融システム不安の状況を脱した後は、流動性の増加だけでデフレが解消されるわけではない。われわれはデフレの根本的な原因を直視する必要がある」と語った。

  白川総裁は「物価はしばしば経済の体温に例えられる。体温だけを人為的に長期間にわたって引き上げることは可能ではない。基調的に体温が上がるためには、それ相応の体質改善や、場合によっては、適切な治療も必要だ」と指摘。同じことは「デフレ問題への対応についても言える」と述べた。

  さらに「緩やかではあるがすう勢的な物価の下落傾向に歯止めをかけるために、すう勢的な成長期待を高めること、言い換えると、生産性の向上に地道に取り組むことが不可欠だ」と指摘。そのための課題として「グローバル需要、とりわけ高い成長が見込める新興国・途上国の需要を積極的に取り込んでいくこと」と「潜在的な需要に対応する供給体制を作り上げ、生産性の上昇を図っていくこと」を挙げた。

白川総裁は講演後の質疑応答で、長期国債買い入れ増額の可能性について問われ、「今、資金を供給する上で、現在の買い入れ金額が最適だと思っている」とする一方で、「特定の政策をあらかじめ排除することはない」と述べた。また、為替相場については「安定的に形成されることが大事だ」と述べた。

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さて、日本のデフレ、客観的に見てどのような状況なのでしょうか。

次のグラフは、IMF World Economic Outlook Database(Oct. 2009)から抽出した、物価上昇率国別ランキング(横軸:181カ国)と、その間の物価上昇率です(縦軸;2008年;2000年=100)。
国別インフレ率ランキング(2008年)
                             このあたり−−−−−−−−−
                                            ↓
これだけではわかりづらいですね。
では、ランキング121位以下の部分を拡大してみましょう。                        (2008年;121位以下)


□は、日本を除くG7諸国
( =米国、 =伊、 =加、=仏、 =英国、 =独)、
そして  が我が国日本です。

2008年時点で、2000年との比較で、物価が下落しているのは、世界で唯一、日本だけです。
そして物価上昇率最下位。
巷間、中国からデフレが輸出されている、などと言われたりしておりますが、中国と貿易している世界中の国の中で、物価が下落しているのは日本だけ。 
中国のせいで日本がデフレ、と因果関係を言うのは無理があることが分かります。

(続く)

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【経済学的な話】
物価の下落で、中国製品などの輸入拡大による個別の価格下落と物価全体の下落を区別しない論調が多いようです。
このことについて、ある人はこのような説明の仕方をしています。

”個別商品の価格の下落を説明は出来るけど、デフレつまり一般物価の下落を説明出来ないでしょ。
商品がA、B、C、D、E ・・・ とあって片方にマネーMがある。
このうちAが新興国の影響でAの売買に使われるマネーが減るってのは分かる。
でもマネーが減っていなければその分 B、C、D、E、・・・・ の売買に使われるマネーが増えるわけで、
そうこう考えると一般物価としては大きく変わるのはなんかおかしい。
普通に考えると、マネーの流通量か流通速度が不十分だからデフレになっていると思う。”

これは分かりやすい説明ですね。