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日銀への電話インタビュー

明けましておめでとうございます。
昨年最後のエントリーで、「日銀の言霊思想」というちょっと過激(?)な内容を書きました。
だから、と言うわけでもないのですが、日銀の言い分も聞いておいた方が良いかな? と思い、
日銀に問合せてみることにしました。
日銀では、情報サービス局・一般情報照会で、一般からの疑問に答えるサービスを行っています。
まず、「日本銀行への意見・要望」受付メールアドレス (prdmail@boj.or.jp )に照会したところ、
当方から電話を入れるように指示されたので、電話で

・日銀の物価指標としているCPIには上方バイアスがあり、物価をインフレ気味に測定していることをどう捉えているのか?
・2000年から2008年までのCPIで見て、日本が180カ国中最も物価上昇率が低い(というか、唯一物価が下落している)ことをどう思うか?
・日銀がCPIで1%±1%の物価変動を目指すとすると、仮にCPIが0%以下になれば、必要な対処はするのか?

の3点を聞いてみました。

Q1.日銀の物価指標としているCPIには上方バイアスがあり、物価をインフレ気味に測定していることをどう捉えているのか? 
A1.CPIに上方バイアスがあることは我々(日銀)も認識している。 ただ、日銀の白塚氏が05年に公表した論文にある通り、上方バイアスは縮小しており、CPIを物価指標として使うことは差し支えないと思っている。

ということで、後で白塚氏の論文を読んでみました。
論旨を要約すれば、
「CPIにはかつては0.9%程度の上方バイアスがあった。 しかし最近ではそれが縮小しているように思える(論拠には乏しい)。 だからCPIを使うことは問題ない。」
といったところです。
 しかし、今問題になっているのは、(GDPデフレータで見て)年間1−2%程度の物価下落が10年以上続いていることです。 その中で日銀内部の人が0.9%もの上方バイアスがあるとしている、ということは、日銀が1±1%のCPIを目指すという内容が実質的には0±1%の、(GDPデフレータで見て)物価変動を目指すというとと同義ですから。この論文を読んだ上でも、やはり、日銀はデフレ志向、という世評を自己確認しているようにしか思えません。 

Q2.2000年から2008年までのCPIで見て、日本が180カ国中最も物価上昇率が低い(というか、唯一物価が下落している)ことをどう思うか?
A2. メールで送ってもらったリンク(2000年−2008年の間で日本の物価上昇率が180カ国中180番目だった、この資料)なぜか開くことができないんですよ。だからお答えできなくて…。

ええっ?? 電話で上のように答えられて、慌てて私も上のURLを再検索しましたがちゃんと見られました。
というか、日銀ともあろう機関が、日本の物価上昇率が世界でどの位置づけにあるのかを知らないことは論外では?

Q3.日銀がCPIで1%±1%の物価変動を目指すとすると、仮にCPIが0%以下になれば、必要な対処はするのか?
A3.仮定の質問にはお答えしかねますが、例えば日銀が長期国債を大量購入する、とかいうようなことを想定されているのであれば、現在日本では法で禁止されていますから、お尋ねいただくとすれば、政府にお聞きいただくことになろうかと思います。

まあ、確かに「財政法第5条」で、
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない 。
とありますからねぇ…。

しかし、これだけデフレが続いているさなか、脱力感が漂うほど日銀には当事者意識お持ちではないようで。
こりゃ、早く財政法を改正するか、財政法の制約のない、政府紙幣の発行を目指すかしなけりゃ、デフレ脱却は難しいかな、と感じた日銀電話インタビューでした。