シェイブテイル日記2

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日銀の目指す、物価対前年比0%は望ましい姿か

昨日(11月20日)、政府はデフレ宣言をしました。 これは平成13年以来のことです。
ところが、同日行われた日銀政策決定会合後の白川総裁は、敢えて「デフレ」という言葉を避けました。「日銀は現時点では物価下落と景気悪化が連鎖するデフレスパイラルに陥る可能性は低いと見ており、物価安定の下で自律的な景気回復に戻ると見ている」そうです。

実際、政府の見方と日銀の見方はどちらが当を得ているのでしょうか。

下の図1は日本の消費者物価指数の推移です。
消費者物価指数
          図1 日本の消費者物価指数推移
図が見づらくて申し訳ないですが、平成2年から平成21年(1990年から2009年)までの対前年変動率です。

消費税が引き上げられた平成9年と、原油価格などが大幅に騰がった一昨年から昨年にかけてを除けば、この10数年は物価水準は前年比+1%以下で推移していることが分かります。
そういった意味では、日銀が言うとおり「物価は安定」しているわけです。

しかしもうひとつ、図を見てください。
各国物価水準推移
  図2 世界主要国の消費者物価水準推移('91年=100%)

これを見ると、先進国中、日本だけが物価水準が20年近く変化していません。
経済状況が日本より優る諸国は、物価上昇率2%内外で安定的に物価が上昇していますが、日本は0%前後。 
考えてみてください。 何年経っても物価も給料も変わらない国と、20年経てば物価と給料が40%アップする国。どっちが金を使いたいと思いますか? 
今給料が500万円だが、20年後には同じ仕事でも700万円にアップする。 ただし、普通貯金はその間に実質4割目減りする。
とすれば、皆金利のつかないキャッシュや普通預金などに金を置いておくのはまずいと思い、消費なり投資なりに金を振り向けるでしょう。

昨年のリーマンショックを経て、世界各国の株価水準は大半の国で年初来2割くらいは上昇しています。 経済成長率の大きい新興国では株価5割上昇は当たり前、といった状況。 これに対し年初来マイナス水準は、日本と国家経済が破綻したアイスランドだけ。 [1]

日本は、中央銀行が2%程度のマイルドなインフレを目指すのか、0%前後のデフレを放置するのかで国の活力はどれほど違うかの実例(いわゆる反面教師)として今後も世界中の注目を浴び続けるのでしょうか。