シェイブテイル日記2

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減価するマネーによる経済活性化策

民主党政権になって、これまで聖域でした霞ヶ関人事や、意思決定の仕組みに、自民党時代には見られなかった新たな取り組みが見られることに対しては、期待が持てるように思います。

しかし、新政権の景気対策は本当にお粗末ですね。

前政権によるエコカー減税やエコポイントなどで、自動車業界や家電業界も一息ついていますが、現政権下での景気の見通しなると全く五里霧中といわざるを得ません。

求人倍率は0.5倍を下回り、消費者物価は3年連続の下落などなどデフレ不況の重圧はいつまで経っても払拭できずにいます。 こうした経済危機に対し、今の民主党政権にも日銀首脳にも景気に対する感受性が高い方はあまりいらっしゃらないようです。

とはいえ批判だけしていても仕方がありません。

今回は思考実験ということですが、新味のある景気対策として、「減価するマネーによる景気活性化策」を提案してみたいと思います。

ここで、ある地方自治体−−例えば大阪市−−を考えます。
人口266万人。 
その大阪市が仮に1860億円(266万人×10万円×70%)の地方債を起債し、これを原資に大阪市民全員に10万円分の電子マネーを配布するのです。 ICチップが入っており、所有者のID、金額(当初10万円)が書き込まれています。
この電子マネーは、大阪市内でしか通用しません。
また、発行主体の大阪市役所に持ち込めば、通常の日銀券とも交換できますが、その際には3割の手数料を取られるものとします。
また一般店舗での買物の際に、電子マネーではなく、日銀券でお釣がほしければ、3割引のお釣しかもらえない、という具合に、日本円に交換すると必ず3割引になるようにします。
また、電子マネーは、1年で6%減価させます。 毎月1日が来ると、0.5%電子マネーの残額がへってしまう、という仕組みです。

そうしますと…

減価するマネーですから退蔵しても得がありませんので、皆さんどんどん手放す(モノを買う)ことになるでしょう。 府税の支払に充ててもいいわけです。
15万円の薄型テレビを買うときには、電子マネー10万円と現金5万円、という具合に、今まで欲しかったものが全て10万円引きで買える、というわけです。
こうした減価するマネーは、だれもがすぐ手放したいので、すごい勢いで府内を還流します。
つまり、金額は府民1人当たりわずかに10万円ですが、流通速度はものすごく、府民の懐を潤すことが期待できます。

でも、こうした社会実験のために、1860億円も用意するのは大変だとお思いでしょうか。 いえいえ、ご安心を^^

最初に1860億円の地方債の起債、と書きましたが、そもそもそれは、この新たな試みである「減価する電子マネー地域通貨」の信用の裏づけという意味での起債です。 大阪市市民がこの電子マネーを全員が全額日本円に換金したいとした場合の裏付けという意味の起債ですが、実際は大半は電子マネーのまま流通するでしょう。流通した電子マネーは、経済活動を通じ、税収増をもたらします。
また市民が市税を電子マネー地域通貨で払いたいときにはそのままの額面で受け入れればいいのです。
ただ、一部の市民は電子マネー地域通貨など信用できないから、と府に日銀券への両替を頼む場合があるでしょう。 その場合には、10万円の電子マネーに対し日銀券7万円しか返す必要がありませんので、還流して来た電子マネーは市職員給与の支払などとして、10万円分として再びちゃんと使える訳で、差引3万円分は自治体が地方債を償還する財源ということになります。起債した1860億円はまだ市の手元にあることも重要です。 つまりこの電子マネー地域通貨は地域住民を潤すだけでなく、結果としては市財政を潤す効果も十分期待できるのです。

実はこのような減価する地方通貨は、過去に海外で実際に実施されたことがあり、経済活性化に大いに寄与したということです。

詳しくは、 「ヴェルグルの奇跡」などでググって みてください。
        ヴェルグルの「スタンプ通貨」
通貨の価値を減ずるため、毎月、スタンプを貼らないと通用しない仕組みだったそうです。 スタンプの印紙代は、発行主体のヴェルグル市の収入として回収されていく訳ですね。 

また、同一地域に2通貨が流通するというのも、例えばキューバなどでは今も国民用と外人用の 2種類のペソ紙幣が流通 しているなどの例があります。

現在はデフレ不況の底ばい状態であり、二番底の懸念もある状態ですが、ある程度広い範囲での地域通貨で、それも多くの店で使用可能で、かつ退蔵すると価値を減じてしまうマネーにより、経済の活性を取り戻すことが可能なように思われます。 
道州制のように、地方政府に権限が移った場合、才覚のある首長のもとではこのような地域通貨が流通するようになるのではないでしょうか。

また地域通貨であれば、日本全体への政府紙幣について言われてるような「ハイパーインフレ」懸念というのも殆ど考えられないでしょう。

皆さんはこのような案について、どう思いますか?