中世ヨーロッパに、増税したら国民が裕福になった事例があった
中世ヨーロッパで数世紀に渡り発行されていたある種の貨幣では、領主への取り分としての税を増やすことを意図しながら、結果的には領民たちも大変裕福になったようです。
貨幣というのはいかにも人工的な存在です。
万物は必ず滅びるのに、現代の貨幣には負の利率がなく、永遠に利子を産み増え続けます。 貨幣にこの性質があるために、減るのが当たり前の資源をすり減らして、利子を伴い増え続ける負債を支払う、というの矛盾が発生してしまいます。
この貨幣の矛盾について批判的だったイギリスの経済学者、リチャード・ダウスウエイト(Richard Douthwaite)の著書に「貨幣の生態学」という本があります。
この著書の中で、神聖ローマ帝国自治領で発行されていたブラクティエート(bracteate)
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全財産を金塊に換え、人里離れた所に埋めた男がいた。
しかし、盗まれていないだろうか、と不安でならない。
結局、彼は、こっそり通って掘り返し、無事を確認するのが日課になっていた。
その行動に不審を抱いた近所の悪党が、男の後をつけて、秘密を知ってしまったのである。
次の日、いつものようにやってきた男は、卒倒せんばかりに驚いた。
隠し場所が暴かれ、すべての金塊が盗まれているではないか。
彼は、髪の毛をかきむしり、「もう、生きる希望もない」と、いつまでも悲嘆に暮れている。
ある人が、言った。
「そんなに悲しむのはよしなさい。あなたは、実際は、お金を持っていなかったのと同じなのですから……。お金は、使うためにあるのです。お金があった時も、使わずにしまっておいたじゃないですか。
使わない金塊なら石と同じです。同じ場所に石を埋めて、金だと思ってはどうですか」
- 作者: リチャードダウスウェイト,Richard Douthwaite,馬頭忠治,塚田幸三
- 出版社/メーカー: 北斗出版
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
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